カリブ海の島々が持続可能な農業を支える方法
「ローカルフード」の潮流は世界的に広がっていますが、カリブ海の島々では本当の持続可能性を実現するのは容易ではありません。過酷な農業環境、進行する気候変動、頻繁な熱帯低気圧が長らく課題となっています。
多くの新鮮な食材が輸入に頼っているため、炭素排出量や包装廃棄物が増大しています。そんな中、地域の農家やレストラン経営者が斬新な取り組みで変革を起こしています。ここでは、カイマン諸島、キュラソー、プエルトリコの3島が先駆けとなって行っている取り組みをご紹介します。
編集者注:最新の渡航制限を必ず確認し、政府の指示に従って旅行計画を立ててください。

カイマン諸島
豊かな野生動物、世界クラスのスキューバダイビング、真っ白なビーチで知られるイギリス領海外領土は、ラグジュアリートラベラーに人気です。近年、食文化でも環境への配慮が進んでいます。
1997年にグランドケイマンで開業したレストラン『The Brasserie』をきっかけに、ファーム・トゥ・テーブルの動きが本格化。地元産野菜や持続可能なシーフードへの需要が高まり、農家は温室栽培を導入し、漁師は環境に優しい漁法を採用しています。
「グランドケイマンでは、農産物市場への地域住民の支持が強く、地元食材が目立っています」と、Kimpton Seafire Resort のエグゼクティブシェフ、マッシモ・デ・フランチェスカ氏は語ります。

毎週開催される Farmers and Artisans Market では、レストランや住民に島産の野菜・果物・はちみつ・ソースなどが供給され、大手スーパーマーケットでも地元産品が取り扱われています。
また、政府支援の "Cayman Sea Sense" イニシアティブに参加し、資源が安定した魚種を低インパクトの漁法で獲ることで、海洋環境への負荷を最小限に抑えています。
デ・フランチェスカ氏は、今後はキッチンやバーから出る廃棄物を農場の飼料や堆肥に回すことで、地元食材の比率をさらに高めたいと考えています。旅行者はカイマン産のシーソルトやスピリッツ、ビール、はちみつなどの土産を選ぶことで、サステナビリティに貢献できます。「やるべきことはまだまだあります」と同氏は締めくくります。

キュラソー
乾燥した隣国に比べて水資源が豊富なキュラソーですが、灌漑には依然として課題があります。そこで、地元起業家のフェミとジョシュア・ペイリカー兄弟は、Hofi Cas Cora 農園とレストランを拠点に、自然エネルギーを活用した持続可能な農業に挑んでいます。
「風力と太陽光で駆動するポンプで地下水を汲み上げているので、深井戸が枯渇する心配はありません」とフェミは語ります。果物・野菜・家畜を育て、スープやラップ、季節メニューに活かしています。
さらに、レストランと連携し、食材廃棄物を豚の飼料や堆肥にリサイクルする仕組みを構築しています。

「Sustainable Curaçao」サイトでは、Hofi Cas Cora や Fuik Microgreens といった農園、エコビューティーブランド、グリーン建築情報が掲載されています。特に、リサイクル容器に入ったハーブロジーのフォレスト製品や、ビーチプラスチックを再利用した Limpi の土産が人気です。
将来的には、包装なしで農産物・ナッツ・穀物を販売できるゼロウェイストストアの開設を計画しています。

プエルトリコ
気候変動による極端な天候がカリブ海を襲い、プエルトリコは特に大きな被害を受けました。ハリケーン・マリア(2017年)から2年が経過し、復興は今も続いています。
Condado Vanderbilt の 1919 レストランでシェフを務めるフアン・ホセ・クエバス氏は、災害後に復興を目指す地元農家との取引を優先しています。「可能な限り回復途上の農家から仕入れています」と語り、メニューの75%は地元産の卵やフルーツで構成。近い将来、85%に引き上げる計画です。

農業支援のために、ソーラーパネルの導入や再生エネルギーの活用が進められ、農家に新たな収入源と環境負荷低減の機会を提供しています。




