デニス・シーヴァーズ・ハウスを無許可で探訪
ロンドンのユニークで魅力的なミュージアムの一つ、実在しない家族の歴史的住宅を内部から見てみましょう。
ロンドンに滞在中、私はいつも「家」を訪れるのが好きです。食器やソファ、ベッド、舞踏会場といった生活空間を直接見ると、そこに暮らした人々の時間と歴史が鮮やかに浮かび上がります。美術館の壁画や戦場の遺構、英雄像よりも、実際の住まいに足を踏み入れる方が、当時の人々の姿を最も身近に感じられるのです。大都市では、パリのジャックマール=アンドレ美術館やハドソン川のロックフェラー邸といった住宅型ミュージアムが代表例です。一方、モロッコのアトラス山脈やオマーンの田舎では、朝のコーヒーが沸くキッチンを目の当たりにできる本物の家が最高の宝物です。
デニス・シーヴァーズ・ハウスは、ロンドン・スピタルフィールズに位置する奇妙な住宅です。本来は数世紀前にフランス系ユグノーの絹織工であったジャーヴィス一家が住んでいたジョージアン様式の10部屋の邸宅ですが、現在は1979年から1999年にかけてアメリカ出身の芸術家デニス・シーヴァーズが創作したフィクションのタイムカプセルとなっています。
シーヴァーズは、当時まだスラム化が進んでいたスピタルフィールズのこの家を購入し、住人である「ジャーヴィス一家」とその歴史をゼロから想像し出しました。地下室から屋根裏まで4階にわたって展示される部屋は、1724年から20世紀初頭に至るまでの家族の社会的変遷を体感できるよう設計されています。裕福な時代のパーラーやドローイングルーム、やがて訪れる貧困の屋根裏部屋…それぞれの空間に残された食料リストやトースト箱、友人への手紙、羽根ペンとインク皿といった細部が、訪問者に物語を想像させます。
このように、シーヴァーズ・ハウスは「生きたミュージアム」体験を提供します。部屋はまるで瞬間的に止まったシーンのように演出され、来訪者が入ってくるとすぐに住人が去ったかのような状態です。ベッドのシーツは乱れ、キッチンでは半分できた朝食が残り、暖炉には割れたくるみが散らばっています(少年たちの夜遊びの名残でしょうか)。来場者は静かに足を進め、キャンドルと暖炉の灯りだけで照らされた空間を巡ります。まるで絵画の中に足を踏み入れたかのような、謎とドラマに満ちた体験です。「見るか、見るまいか」という館のモットーどおり、一度で全てを把握するのは不可能です。
体験に没入するために「撮影禁止」のサインが掲げられていますが、私はどうしてもその光景を記録したくて、警備員の注意を無視し、低照度設定でカメラを構えてしまいました。結果は多少ぼやけた写真ですが、むしろその曖昧さが神秘性を高めてくれると信じています。実際に足を運べば、あなた自身の目でその魅力を確かめてください。
アクセス
デニス・シーヴァーズ・ハウス
18 Folgate Street
London E1 6BX
+44-020-7247-4013
info@dennissevershouse.co.uk




