台湾・塩水の蜂巣ロケット祭で体感した爆発の嵐
祭りの序章
深夜を過ぎた頃、瞬く間に混沌が幕を開ける。
人混みの中、街区全体に広がる高さ2階分の巨大な木箱が目の前に立ち並ぶ。この「城」と呼ばれる装置は、横向きのスラットに瓶ロケットが無数に詰め込まれ、四方八方に向けて発射準備が整っている。やがて点火され、ロケットが空へと吹き出す。
観客は静かにその瞬間を待つ。ここは、宗教的な祭礼の場だからだ。
塩水蜂巣ロケット祭とは
台湾・塩水で毎年開催される「蜂巣ロケット祭」は、信仰と危険が交錯する祭りで、世界で5番目に危険な祭りと評価されている。祭りは清朝時代に遡り、塩水の住民が疫病退散を祈願して関帝に火薬を捧げたことが起源とされる。その奇跡的な効果により、以降毎年同様の儀式が続いている。
祭りのハイライトは、夜通し街中で爆発する「城」だ。城は大小さまざまあり、規模の大きいものは町全体に火の雨を降らせる。
装備と安全対策
私が身につけた装備は、ヘルメット、作業用手袋、塩水消防署から借りた厚手の防火ジャケット、そして首に巻いたタオルだ。ヘルメット内部にロケットが侵入し、目に傷を負うリスクを大幅に減らすことができた。

信者の姿
最小限の防具で挑む信者も多く、腰布とタオルで目を覆い、信仰の力だけを頼りにする姿が見られる。ある信者に話しかけても、酔いもしくはトランス状態で返事は得られなかった。

祭り当日の様子
夕暮れ前からは、神像を担いだ巡礼隊が担架で街を練り歩き、道端に置かれた花火箱やローマキャンドルが雨のように降り注ぐ。交差点では軍用スパークラーが光のカーテンを作り出す。

城の点火
私がいる城の屋根が炎に包まれた瞬間、視界が曇りつつもバルブを上げると、ロケットが四方八方に噴き出した。「来た!」という叫びが上がり、ロケットはヘルメットやジャケット、手に直撃する。カメラを三脚に載せて近づくと、本能的に後退したくなる衝動に駆られ、群衆も同様に小刻みに跳ねるような「踊り」を見せた。

熱狂のクライマックス
タトゥーを入れた信者が神像を担いで背中が火傷しながらも耐える様子が見られ、爆発音は次第に「蜂の巣」のようなハチの羽音に変わっていく。この音が祭り名の由来である。
熱狂は1分足らずで最高潮に達し、やがて遠くで聞こえるだけの音へと変わる。耳が半分聞こえなくなり、顔が焦げた私は屋台の食べ物やビール、ベテルナッツの前を通り過ぎた。
路地の奥からさらに大きな城が姿を現し、夜はまだ続くことを示唆した。





