中東横断グランドツアー:時代を超えるホテル体験
古典的なグランドツアーの魅力を想像してみてください。アスピディストラやアンチマカサーで飾られたエレガントなホテルのドローイングルーム、磨き上げたマホガニーのダイニングルーム、そしてきしむ鉄製エレベーター…。現代のホテルは洗練されたデザインと薄型テレビが主流ですが、中東ではこうした過去の旅行時代の遺物が今も残っています。本物の旧世界の魅力が息づく場所をご紹介します。

エジプト
エジプトは地域で最も優れたヴィクトリア朝時代のホテルが点在しています。カイロでは、ピラミッドのすぐそばに位置する象徴的な「メナハウスホテル(Mena House Hotel)」があり、元はカディーヴ・イスマイルの王室狩猟ロッジとして1890年代から上流客を迎えてきました。現在はラグジュアリーな5つ星リゾートで、プールからはナポレオンが『四千年の歴史が見下ろす』と讃えた景色が広がります。
予算を抑えたいなら、カイロの老舗「ウィンザー・ホテル(Windsor Hotel)」がおすすめです。配管の音やヴィンテージエレベーター、長年勤めるスタッフの心配りが特徴で、かつての英国軍将校クラブの雰囲気が残ります。バレルバーでは、たとえ一杯だけでも濃厚なスコッチが楽しめます。
ナイル川下流のルクソールとアスワンにも名宿があります。ルクソールの「ウィンター・パレス・ホテル(Winter Palace Hotel、1886年創業)」はソフィテルが運営し、マーブルの廊下や1886レストランでのフランス料理(ドレスコード:ジャケット&ネクタイ必須)を堪能できます。アスワンの「オールド・カタラクト・ホテル(Old Cataract Hotel、1899年創業)」もソフィテル系列で、アガサ・クリスティやウィンストン・チャーチル、プリンセス・ダイアナ、アガ・カーンらが滞在した歴史ある宿です。
イスラエル・パレスチナ自治区
東エルサレムにある「アメリカン・コロニー・ホテル(American Colony Hotel)」は、外交官や国連職員、ジャーナリストに愛される宿です。19世紀のパシャ宮殿を1902年にウスタノフ男爵(俳優ピーター・ウスタノフの祖父)がホテルへと改装し、歴史的なバーは今も謎めいた雰囲気を漂わせています。
ベツレヘムの「ジャシール・パレス(Jacir Palace)」(現在はインターコンチネンタル系列)は、20世紀初頭の豪邸を復元したもので、精巧な石工が特徴です。かつては市長官邸、学校、刑務所、軍事司令部として使われていましたが、現在は大理石の床が響く静かなプールで、地域の喧騒からのひとときの安らぎを提供しています。
レバノン
レバノン・ベッカ谷にある「パルミラ・ホテル(Palmyra Hotel)」は、古代ヘリオポリス遺跡の近くに位置し、かすかに残る栄光を感じさせます。部屋30号はかつてフランスの将軍ド・ゴールが宿泊した部屋で、ジャン・コクトーが描いたスケッチ(請求書の支払いのために描かれた)を見ることができます。親密なバーでゆっくりとグランドツアーの消えゆくエッセンスを味わってください。
毎週配信されるニュースレターで、旅行のインスピレーションやヒント、限定オファーを直接受け取りましょう。




