世界女性レンジャーの日
背景
象やサイ、ライオンなどの野生動物は、密猟や人間活動による生息地の喪失で絶滅の危機に瀕しています。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストによれば、森林象は絶滅危惧種(CR)に、サバンナ象は絶滅危惧種(EN)に指定されています。
COVID-19 の影響で観光業が停滞し、保全プロジェクトへの資金が激減。観光客が減ることで密猟の監視が手薄になり、さらにレンジャーの雇用が不安定になると、1人のレンジャーが最大16人の家族を支えるケースもあるため、地域全体に深刻な影響が及びます。
世界女性レンジャーの日の創設
イギリスの慈善団体 How Many Elephants (HME) が、創設者ホリー・バッジの主導で、初の「World Female Ranger Day(世界女性レンジャーの日)」を設立しました。2022 年にアフリカを中心に開催され、女性レンジャーの活動に光を当てることを目的としています。
ホリー・バッジ(How Many Elephants)と共に写るアカシンガ・レンジャー
ホリーは「アフリカの全女性構成の対密猟ユニットで現場を経験した結果、女性レンジャーが地域の緊張緩和やコミュニティとの関係強化に大きく貢献していることが分かりました。World Female Ranger Day は、女性レンジャーを称えると同時に、環境保全分野における性別不均衡を可視化し、データ収集と政策提言を通じて支援策を具体化することを目指しています」と語ります。
女性レンジャーの実例
世界の野生動物レンジャーのうち女性はわずか 11% 未満ですが、彼女たちは従来男性が担ってきた役割を次々と成功させ、アフリカ全土で女性の社会的地位向上に寄与しています。
例として、南アフリカのブラック・マンバ・アンチポイキング・ユニットに所属する 28 歳のレイタ・ムケバラはこう語ります。「最初は『この訓練は男性向け』と言われ、女性はできないと偏見がありました。しかし、私たちの成果が見えると、地域の女性たちも自分たちを新たに捉え直すようになりました」。
男性レンジャーと同様に、女性レンジャーは罠の撤去、密猟者キャンプの破壊、野生エリアの巡回など、野生動物保護の最前線で活躍しています。
ケニア・キリマンジャロ付近の象(James Eades)
プロジェクトは野生動物保護だけでなく、女性の医療アクセスや高等教育の機会拡大、経済的自立を支援し、家族や土地の所有者になる道を開いています。
例えば、ジンバブエのアカシンガ・アンチポイキング・ユニットに加入した 29 歳のニャラドゾ・ホトは、かつて学校を中退し虐待的な結婚を強いられましたが、現在はレンジャーとして働きながらチンホイ工科大学で野生生態学を学んでいます。安定した収入で土地を購入し、家を建てました。
同じくジンバブエ出身の 33 歳のシタビレ・ムネンゲは、かつて子どもたちにトマトを売って生活していましたが、現在は National Park Rescue のコミュニティ・レンジャーとして活躍。男性が優先されがちだった雇用環境の中で、地域からの尊敬と子どもたちの将来を築く力を得ました。
成果と今後の課題
2013 年以降、南アフリカのブラック・マンバは 1,500 本以上の罠を撤去し、密猟者キャンプを多数破壊。バルレ自然保護区での罠設置・密猟件数は 76% 減少しました。
レンジャーの活動は継続が不可欠です。そのためホリーは World Female Ranger Day を設立し、認知度向上と資金調達を図ると同時に、世界中の女性アンチポイキング・レンジャーが経験を共有し、相互に助言できるプラットフォームを提供しています。
詳細は動画をご覧いただき、worldfemalerangerday.org をご訪問ください。
メイン画像:アカシンガ・レンジャー(Brent Stirton)




