女性旅行者が世界で出会うべき5人の女性と体験
小さな生地のボールを手のひらで転がすと、幼少期の台所に戻ったかのような懐かしさが胸に込み上げた。台湾系アメリカ人の家族と一緒に、粉まみれで餃子(モモ)を作った思い出だ。父が生地をこね、私と妹が丸めて平らにし、母は巧みにひねりを加えてレストラン品質のモモに仕上げた。
しかし、カトマンズで出会ったサバイバーシップ・シスターズ(SAS)のキッチンテーブルは、甘くも苦いものだった。そこにいたのは、人身売買から抜け出した生存者たちだった。
私はG Adventuresのツアーでネパールを巡り、同社の非営利団体Planeterra Foundationが、サバイバー支援団体SASANEと提携し、意義ある観光雇用を創出していることを知った。その一環として、12人の旅行者と共に伝統的なモモ作り体験を行った。
まずは彼女たちの壮絶なストーリーを聞く時間があった。あるホストと目が合った瞬間、想像を絶する状況から脱出し、今は世界中の旅行者を温かく迎える彼女のたくましさに胸を打たれた。
料理中、ある女性が驚くほどの速さでモモを折り、指先で形を整えていた。その姿は、かつてはトラウマで声を失っていた彼女が、今や世界中の旅行者の注目を集める存在へと変わったことを象徴していた。
この国際女性デーに、旅先で出会った数多くのたくましい女性たちを思い返すと、彼女たちの物語が私たちの旅をより深く、意味あるものにしてくれることに改めて感謝する。以下に、女性が主役となる5つの旅行体験をご紹介する。
ケニアでハンドルを握る
インテレピッド・トラベルのKenya: Women’s Adventureでは、運転手のベッキー・キエハがサファリの景色を案内する。シマウマやサイ、キリンを指差す姿は圧巻だ。
ベッキーは東アフリカ初の女性オーバーランド・トラックドライバーで、トラック運転手の娘として6年にわたりこの仕事に従事している。性別賃金格差が135年後に解消されると予測される国で、彼女は「ママ・オーバーランド」の愛称で親しまれ、少女たちからは「ベッキー叔母さん」と呼ばれるほどのロールモデルだ。
9泊の旅では、性暴力サバイバーが暮らすUmoja Villageや、女性が経営する花農園など、女性のエンパワーメントが実感できるスポットが多数登場する。
ペルーで織りの壁を越える
アンデスの山間部に拠点を置くAwamakiは、女性の織り手を支援する組織だ。2009年に10名の職人で始まったこのプロジェクトは、現在では8つの協同組合を通じて伝統的テキスタイルを世界へ届けている。
体験プログラムとして、6時間のRural Tourismツアーで織りの工程を学び、さらにケチュア村でのArtisan Overnightに宿泊し、現地の暮らしと手仕事に浸ることができる。
モロッコの美の秘密を解く
G AdventuresのKasbahs & Desertツアーで、アトラス山脈を横断しながら女性が運営するアルガンオイル協同組合を訪問。教育機会が限られる地域で、栄養豊富なオイルを抽出し、美容と料理の両面で収入源にしている。
参加者は実際に種子からオイルを抽出する体験ができ、また、年に600ヘクタールの速度で失われつつあるアルガン樹を保護し、砂漠化防止に貢献していることを学べる。
パリで女性史を歩く
ジョーン・オブ・アークやマリー・アントワネットだけではない、フランス女性の足跡を巡るWomen of Parisウォーキングツアーが人気だ。全て女性ガイドが案内し、フランス女性の歴史と文化に焦点を当てる。
文学好きには、サン=ジェルマン・デ・プレでコレットやジョルジュ・サンドを巡る「Sugar & Spice」ツアーがあり、チョコレートの立ち寄り先も含まれる。演劇ファン向けには、エディット・ピアフやサラ・ベルナールをテーマにした「Drama Queens」や、左岸の女性作家を巡るEssential Walkが用意され、パティスリーでの甘い休憩も楽しめる。
ニューヨークで女性が経営するワイン・トレイル
日本出身のフミエ・ソープは、天文学の研究のためにニューヨーク州オスウェゴへ移住。父親が買ったブドウ園を受け継ぎ、現在はThorpe Vineyardを30年以上にわたって運営し、100%女性所有のワイナリーとして成功を収めている。
オンタリオ湖畔のワイン・トレイルを歩きながら、ワインのテイスティングはもちろん、星空観察やバードウォッチング、そしてソープ氏が描くオリジナル水彩画も鑑賞できる。




