上高地:日本アルプスへの入口
中部山岳国立公園の手付かずの高山谷、上高地は、夏の暑さを避けたり、紅葉の季節に彩り豊かな風景を楽しんだりできる、国内屈指の観光地です。日本のレクリエーション登山の発祥地として、あらゆるレベルのハイカーに対応したコースや体験が揃っています。
上高地の清浄な美しさ
上高地は日本アルプスをすぐ目の前に感じられる場所です。100年以上にわたり、この壮大な高原谷は登山家たちを惹きつけ、北岳や焼岳など日本屈指の山々への登攀拠点となってきました。
穂高連峰や焼岳の切り立った岩壁が、森林や湿原、透明な梓川を見下ろしています。

背後に焼岳を背にした梓川の青い水面。
名声が高い一方で、上高地はほとんど手つかずの状態が保たれています。1960年代から始まった環境保全活動や、1975年の自動車禁止令などが純粋さを守り、訪れる人々にも同様の配慮が求められています。
独特の植生も魅力です。日本落葉樅やブナ、白樺が秋になると鮮やかな紅葉を見せ、一般的な杉林とは一線を画します。

野生動物としてはニホンザルやセイウチに似たヤマヤマシカが観察できることがあります。
日本登山文化の発祥地
上高地は2016年に初の「山の日」行事を開催し、レクリエーションハイキングの普及に大きく貢献しました。
江戸時代後期、板竜上人らが山岳登攀の先駆けとなり、1828年に日本のマッターホルンと称される槍ヶ岳にロープを張って登りやすくしたことが知られています。

独特の姿から「日本のマッターホルン」と呼ばれる槍ヶ岳。
19世紀末、イギリス人測量技師ウィリアム・ゴーランドがこの地域を「日本アルプス」と命名。宣教師ウォルター・ウェストンは1888〜1895年に探検し、1896年の著書『日本アルプスにおける登山と探検』で世界に紹介しました。

ウェストンの功績を称えるレリーフ。
ウェストン像は西岳の登山道入口近くにあり、6月に祭りが行われます。明神池には案内役の神城神蔵を祀る慰霊碑があります。
梓川沿いの名所
上高地の見どころは、整備された3〜4時間の梓川散策路(砂利道・舗装路・板道)を歩くと巡れます。

上高地のシンボル、カッパ橋。
カッパ橋は、背後にそびえる山々と合わせて絶好の撮影スポットです。名前は民話に登場する河童に由来し、芥川龍之介の短編でも取り上げられ、土産物にも描かれています。

バスで訪れる場合は、1915年の焼岳噴火でできた大正池で下車。縮小しつつも、北岳・穂高連峰を映す鏡のような美しさがあります。

明神池のほとりに建つ小さな神社。
カッパ橋から約1時間歩くと、入場料が必要な明神池があります。10月8日の「穂高神社舟祭り」も見どころです。
レベル別ハイキングコース
カッパ橋から上流へ向かい、徳沢・横尾(約3時間、緩やかな傾斜)へ行くと、各山頂への登山口に到達できます。

焼岳山頂からのパノラマビュー。
日帰りで挑める焼岳(標高2,455m)は活火山で、山頂には噴火口があります。奥穂高岳(標高3,190m)は日本第3位の高さで2泊が必要です。槍ヶ岳の3日間ループは、難易度の高い大岐列峰(だいきれっと)を含む本格的な登山です。
四季折々の魅力
4月27日の開山式ではアルプスの角笛が鳴り、雪解けと新緑が迎え入れます。5月は風花、6月はツツジ、夏は朝靄、10月は紅葉が見事です。

明神池・大正池・岳沢湿原は秋に彩りが増し、烏沢氷河は6時間のハイキングと宿泊で燃えるような紅葉が楽しめます。

秋の紅葉 © Yashiro_Hino(CC BY 4.0)
上高地は4月中旬から11月中旬まで営業し、東京・大阪・京都からのバスが運行しています。シーズン外はスノーシューが必要です。




