マダガスカル・ゆっくり走る列車で巡る旅
概要
標高1,100mの高原都市フィアナランツアからインド洋沿岸のマナカラまで、全長163kmを走るFCE鉄道は、12〜24時間かかります。このゆっくりした移動速度こそが魅力で、目的地にたどり着くことだけでなく、旅路そのものを味わう体験です。

歴史
フランス植民地政府が1926年から1936年にかけて建設したこの路線は、東海岸へのアクセスと農産物輸出を促進する目的で敷設されました。レールはドイツ製、車両はスイス製です。
全盛期には1日5本、2台の機関車が走り、年間15万人の乗客と2万トンの貨物を輸送していました。1960年代以降の政治・経済不安定がメンテナンスを阻み、遅延や脱線が頻発。現在は1台の機関車で週2回の旅客列車(貨物列車は1本)を運行しており、混雑が常態化しています。
2等車両は老朽化が激しいため、快適な座席と開閉が確実な窓を備える1等車両の利用をおすすめします。

絶景ルート
高原区間は森林に覆われた山麓、滝、段々畑、果樹園を通り抜け、全48本のトンネル、67本の橋、4つの高架橋(米田を横切るアンケバ高架橋など)といった壮大なインフラが特徴です。
時速約20kmで走り、窓を開ければ森林の香りが漂います。乗客同士の会話や、地元の人々との交流がゆったりと楽しめる、現代の喧騒から離れた旅です。
約100km地点のフェノムビ付近になると、地形が平らになり、気温が上がり、稲田とヤシの木が広がります。

地元にとっての命綱
各駅ではバナナやライチ、米の袋、家具など、50km離れた農家からの荷物が30分から数時間かけて降ろされます。駅構内ではフリッターやケバブ、スナック、黒胡椒やピンクペッパーといった香辛料が売られ、お土産に最適です。
停車が多くなると新鮮さは薄れるかもしれませんが、自然と景観、乗客同士の友情、そしてユニークさは変わりません。未舗装道路が多いマダガスカルでは、読書や人間観察ができるこの列車は貴重な移動手段です。

旅のコツ
- 食事と飲み物を2食分とスナックで用意。駅でも果物やビスケットは売られますが、露店の食べ物は衛生面に注意。
- 本やトランプ、簡易ゲームを持参して時間をつぶす。
- 車内灯は暗くなるので、懐中電灯を持っていくと安心。
- 高原や夜は冷えるので、重ね着できる服装を。
- 長時間座る場合は旅行用枕を用意。
- トイレは混雑しやすく、自然の中で用を足す必要が出ることも。
- 景観が最も美しい区間はサハンバビ~フェノムビ。日中の光が差す区間を選ぶと良い。
- サハンバビ駅で乗り降りすれば、退屈な区間をスキップでき約1.5時間短縮。近くのラ・ホテルに宿泊がおすすめ。
実用情報
FCEはフィアナランツアを火曜・土曜の午前7時頃に出発し、マナカラへは水曜・日曜の午前7時頃に戻ります。料金は1等クラス40,000アルピ(約12米ドル)、2等クラス16,000アルピです。




