パリで見逃せない『The Museum of Everything』:消える前に必見の展示
2月までパリにいるなら、外部アートの臨時展示『The Museum of Everything』を見逃さないでください。その作品は複雑さ・多様性・深さにおいて圧倒的です。
展示の概要
パリでの訪問を終えたとき、The Museum of Everythingに対する感情は「不信と畏敬」でした。小学校で美術カードを丸暗記し、美術史の授業やギャラリー、オークション、さらにはマーファやバーンングマンといった遠隔の芸術拠点を巡ってきた私でも、数時間で出会った作品ほど衝撃的なものはありませんでした。
この展示は、英国の映画監督で起業家のジェームズ・ブレットが2009年にロンドンで単発の企画として立ち上げたものです。ブレットは「誰もこの作品をキュレーションしなかった」ことがきっかけだと語っています。
写真:Takeshi Sakamoto/The Museum of Everything提供
写真:Anthony Romagano/The Museum of Everything提供
ブレットが「非伝統的アーティスト」―正式な美術教育を受けていない人々―と呼ぶ創作者たちの作品が集められています。アウトサイダー・アートは19世紀末に起源を持ち、1920年代にドイツの精神科医が入院患者の作品を研究したことから注目されました。展示に登場するのは、精神科患者、歯科技師、自閉症者、工場労働者、統合失調症患者、肉屋、聾唖者など、ギャッソンやグッゲンハイムの壁に掲げられることはほとんどない人々です。ブレットは「彼らはまず第一に優れたアーティストであり、背景や状況は二次的なものだ」と語ります。
展示の歴史とパリでの開催場所
最初の展示は数週間で終わる予定でしたが、来場者35,000人を記録し、4か月に延長されました。その後、イタリア・トリノのアニェリ美術館やロンドンのテート・モダンなど欧州各地を巡り、ロシアでも5都市ツアーを実施しました。
現在、パリではChalet Society(元カトリック神学校を改装した展示空間)にて開催中です。場所は高級住宅街サン=ジェルマン・デ=プレに位置し、19世紀から21世紀にかけての500点以上(総コレクション約7,000点)の作品が教室や廊下、さらにはトイレまでも埋め尽くしています。
写真:Stefan Häfner/The Museum of Everything提供
作品のハイライト
展示作品は複雑さ・多様性・深さに富んでいます。極小の電子部品やタイプライターの部品で構築された精巧な模型建築、葉巻のラベルで覆われた楽器、盲目のてんかん患者が作ったかかし、駅好きの統合失調症患者が作った小型トロリーやバスなど、様々な「見つけたもの」から再構築された作品が並びます。ある作品「Possum Trot」は、80体の木製人形が街を構成し、スピーカーが取り付けられたものもあり、音声で「声」を与えています。
キャンバス上の作品も多数展示されており、細部まで緻密に描かれたものは見入ってしまうほどです。
壁ラベルとアーティストのコメント
作品の説明文は、デイヴィッド・バーン、マーレーネ・デュマス、リー・フリードランダーなど、現代アーティストやキュレーターが執筆。マウリツィオ・カッテランは、別の人形作家の物語を人形同士の対話として脚本化しています。エド・ラッシャは「この作品を見ると警報が鳴り、力強さを警告してくれる」と語ります。
開催期間と注意点
The Museum of Everythingは2023年2月24日までパリで開催されます。撮影は禁止されており、違反すると1,000ユーロの罰金が科されます。作品は何度も見返したくなる魅力がありますので、カメラはお預けください。

会場情報
The Museum of Everything
Chalet Society
14 boulevard Raspail
75007 パリ、フランス
水曜〜日曜 11:00〜20:00
展示期間:2022年12月〜2023年2月
備考:来館前に公式サイトで事前予約をおすすめします。
バーチャルツアー
展示作品の一部をオンラインで体験できるバーチャルツアーをご利用ください。
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