スイスで育む子どもの自立
エクスパット・クロニクル:カスバートソン一家のスイス編
幼少期からの自立
チューリッヒに引っ越したとき、まず目に入ったのは、目的地へ向かって一人で歩く小さな子どもたちの姿でした。身長が小さいわけではなく、年齢がまだ幼く、街の常識や危険回避の経験が乏しい子どもたちです。スイスでは5歳になると、親の手を握らずに自ら学校へ通うことが一般的です。移転担当者に尋ねると、「スイスの子どもは幼い頃から自立が奨励されている」と教えてくれました。その結果、道路を渡るときも親が手をつなぐ光景はほとんど見られませんし、バスや電車に乗る際も同伴者はいません。これは、過保護な「ヘリコプターペアレンティング」とは正反対の姿です。
保育園のキャンプは「親なし」
保育園(学校ではありません)は、2歳児向けのキャンプさえも企画しています。月曜から木曜まで保育士が同行し、子どもたちは親と一切接触しません。読者の中には「数夜の保育園キャンプはベビーシッター代が節約できる」と思う方もいるでしょう。しかし、実際は「まだ言葉で正確に要望を伝えられない」「オムツをしている」「野生のイノシシの脅威やダニの噛みつきに注意しなければならない」など、さまざまな不安が伴います。暗く不気味な森の中で、まるで『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』のような環境です。
自立とスイスの社会構造
この自立文化は、スイスの強固な経済、低い失業率、スポーツでの優れた実績、そして権威への敬意が根付くティーンエイジャーに支えられています。あるとき、電車に乗ると騒がしいティーンエイジャーのグループが乗り込み、新聞を座席に広げ、足を上げてリラックスしていました。
自己責任(Selbstverantwortung)と保険制度
スイスでは「自己責任(Selbstverantwortung)」の概念が浸透しています。自動車運転、スキー、ハイキング、サイクリングなど、あらゆる活動はリスクを伴い、本人が危険を調べ、適切な保険に加入する義務があります。個人・医療・生命・旅行保険はすべて必須です。未舗装の井戸で転倒した場合でも、訴訟は起こせません。自分でルートを調べ、必要なら地元の人に相談するのが常識です。監視カメラや過度な安全基準がない「ナニー・ステート」ではなく、個人が自らの安全と健康を管理する社会です。5歳での通学も、親の介入なしに自分で行うことが期待されています。
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