北緯66度を目指すクライミング・アドベンチャー

スウェーデンからロフォーテンへ
スウェーデンに到着後、E10号線を北上し、ノルウェー北海岸の花崗岩群島ロフォーテンへ向かった。車は食料3週間分、クライミング装備、そして大きな楽観主義で満載だった。
雨と強風が続く中、テント設営は不安に変わり、現地の天気予報を確認した。予報は数日間改善しないと示していた。
フェリー欠航とロルブ(漁師小屋)での待機
数十年ぶりにフェリーが欠航したことを知り、我々は「柔らかい」わけではないと自覚し、ロルブと呼ばれる漁師の小屋に身を潜めた。内部は極めて簡素だが、嵐が過ぎ去るまでの拠点としては十分だった。
翌日、天候が少し落ち着いたのを見計らい、クライミングエリアやカフェ、街の様子を探検。スヴォルヴァエルのパブでリフィルコーヒーと無料Wi‑Fiを堪能した。
ロフォーテンでのクライミング生活
最初の2週間はスヴォルヴァエル、パラディセット、ヘニングスヴァエルを拠点に、乾きやすい岩を中心に登った。スポーツルート、シングルピッチ、湿ったマルチピッチ、さらには雨天時のスクランブリングまで、さまざまなスタイルに挑戦した。
目的はロフォーテンでの訓練だけでなく、ノルウェーの国山・ステティンドにある「サッド・ピラリン」への本格的な挑戦でもあった。
パラディセットでの失敗と教訓
雨の中、パラディセットで「午後の軽い散策」的なスクランブリングを試みたが、樹林と苔に覆われた道のりは想像以上に困難だった。苔が付いた花崗岩は滑りやすく、まるで氷上のバンビのようにバランスを崩した。
結局、キャンプに戻り装備を乾かすことに。以後、ルート選択はパートナーに委ねた。
ステティンドへの挑戦
ロフォーテン最北端の漁村・Å(オー)まで移動し、エッグムでシェルター付きスポーツルートを登った後、再び天候の窓が開いた。
8時間のドライブと短い睡眠を経て、午前1時45分にステティンドの登攀を開始。駐車場にはキャンピングカーやノルウェーのガイド、ウィングスーツ飛行士たちが集まり、互いに情報交換やワインを酌み交わした。
雲の中を登り、3番目のピッチで雲上に抜けた瞬間、壮大な景観が広がった。岩は美しく、落石で一部ルートが変化したが、臨機応変に新しいラインを確保した。
ウィングスーツの飛行士たちは霧の中を滑空し、駐車場に着陸した様子はまさにジェット機のようだった。
頂上と下山
13ピッチの挑戦を経て頂上に到達。濡れた天候でのトレーニングが功を奏した。下山は固定ハーネス降下や刃のようなアーゼ、崩れやすい道を通り、やがて美しい白樺林に辿り着いた。
トロムソとクヴァローヤでの余韻
頂上での感染症を抱えたため、トロムソへ移動し観光と休養を取った。そこから北東のリングスン山脈、北西のセンジャ島へと足を伸ばし、トロムソ観光案内所で借りたガイドブックでクヴァローヤ島のクライミングスポットを探検した。
美しいビーチ、透明な海、バリエーション豊かなスポーツルート、シングルピッチ、ボルダー、遠征マルチピッチが揃い、アクセスも正確なガイドブック通りでスムーズだった。
旅行中は初めてトナカイやヘラジカ、さらには海辺でイルカが跳ねる姿も目にした。日光浴、食事、読書、そして多数のクライミングで、充実した時間を過ごした。
最後のひとときと帰路
再び天候が悪化したため、ベッド&ブレックファストでひと泊まりし、装備を最終的に乾燥。1000枚以上の写真とともに、3000メートル以上のクライミング距離を達成し、無事に帰国した。
Mountain Hardwear の防水・防寒装備がなければ、快適に過ごすことはできなかったことに感謝。




