シルバーレイクルーズCMO バーバラ・ムッケルマンに聞く――世界をクルージングする女性リーダー
シルバーレイクルーズは、卓越したサービスとスタイリッシュな船、そして幅広い寄港地で知られるブティッククルーズのリーディングカンパニーです。ベトナムの温暖な海域から北極圏の氷原まで、世界中を航行します。私たちは南シナ海を巡る同社の航海に同行し、ただただ驚嘆しました。本稿は『Great Women in Travel』シリーズの一環として、同社チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)バーバラ・ムッケルマンにキャリアと旅哲学について伺いました。
現在のお仕事について教えてください。
私は2016年11月からシルバーレイクルーズのCMOを務めています。実はこれが2度目の在籍で、2005年まで約4年間同社で働いていました。10年以上ぶりに戻ってきた感覚は、まさに『帰郷』そのもの。シルバーレイを骨の髄まで知っており、同社は私のプロフェッショナル成長に大きく寄与してくれました。クルーズ業界の様々な企業で経験を積んだ今、その知見を活かしてブランド価値を高め、提供サービスの質を向上させています。業界でも最も憧れられるブランドで働けることに、日々感謝しています。
どのようにしてここにたどり着いたのですか?
1997年にクルーズ業界へ入り、以降スキルを磨き続けてきました。旅行は単なる仕事以上の情熱です。自分の好きなことを仕事にできる幸運に感謝し、世界の最も素晴らしい場所でゲストに感動体験を提供することにやりがいを感じています。人と文化をつなぐ旅行の力こそが、私の原動力です。
それまでの経歴は?
マーケティング・ラグジュアリー・トラベルを軸に、複数の企業で要職を歴任してきました。2006年にはロンドン・ビジネス・スクールとコロンビア大学でMBAを取得。挑戦的でありながら実り多い経験を通じ、今でも交流のある仲間と出会えたことは大きな財産です。人生を通じて学び続けることが重要だと考えています。
子どもの頃の夢の仕事は?
エジプトの考古学者になりたかったんです。父が頻繁にエジプトへ出張していたため、幼少期からピラミッドやヒエログリフに心を奪われました。12歳の頃にはクリスマスにヒエログリフ翻訳用の文法書を欲しがったほど。でも結局、手を動かす実務が好きだと気づき、旅先での出会いや体験を楽しむ道へと転向しました。
典型的な1日を教えてください。
朝は早起きで、ランニングやヨガで体を目覚めさせます。朝食を取りながらニュースをチェックし、メールを確認。その後オフィスへ向かい、ミーティングや電話が立て続けに入ります。仕事は忙しいですが、生活の質を大切にしているので、なるべく早めに切り上げるよう心がけています。帰宅途中に市場で新鮮な野菜を買い、料理を楽しむ時間を確保。夫と一緒に自宅でヘルシーな食事を作るのが好きです。
理想的なクルーズ体験とは?
訪れる目的地に根ざした本物の体験が随所に散りばめられ、船上でも岸でも一貫したストーリーが展開されます。深い没入感と、上質な食事・卓越したサービス・贅沢なアメニティが組み合わさり、忘れられない思い出になります。現地の味覚や音楽、文化に触れられることが、最高のクルーズの条件です。
お気に入りのホテル・レストランは?
最も印象に残るホテルはウダイプルのタージ・レイク・パレス。もう一つ、私の心に特別な場所はムンバイのタージ・マハル・パレスです。インドは私の大好きな旅行先です。レストランではミラノのイタリア料理店「イル・バレット・アル・バリオーニ」がお気に入り。ミラノはショッピングや友人との交流にも最適な都市です。
良いホスピタリティをどう定義しますか?
シンプルに言えば、遠く離れた場所でも自宅の快適さを感じられることです。パーソナライズされ、真摯でありながらも過剰でなく、細部への配慮――たとえばゲストの名前を覚えていること――が差別化要素です。現地の文化に近づく機会を提供してくれるホスピタリティこそが、私が旅先で最も求めるものです。ラグジュアリーとは、単に豪華さを提供するのではなく、ゲストのニーズを先取りして形にすることです。
他社クルーズが陥りがちな点は?
競合として否定的に語ることは避けています。むしろ、同業他社は業界全体を支えるパートナーです。海は地球の72%を覆い、クルーズ産業は旅行全体に比べてまだ小規模です。業界はまだ成長段階にあり、これからが本番だと考えています。
キャリアでのハイライトは?
2004/2005年にイサベラ・ロッセリーニを起用したシルバーレイの受賞広告キャンペーンを立ち上げたことです。イタリアらしさを前面に出した新たなブランドポジショニングは、以降10年以上にわたりブランド認知を支えてきました。
仕事で最もやりがいを感じる瞬間は?
やはりゲストとの出会いです。彼らの声に耳を傾け、期待以上の体験を提供できたと実感した瞬間が何よりの報酬です。また、旅行アドバイザーとのブレインストーミングも刺激的です。
旅行が仕事に与える影響は?
旅行は仕事の不可欠な要素です。新商品を市場に投入する前に、まず自らが体験しに行きます。たとえば『Couture Collection』は、ブータンでの出張中に現地の文化とゲストの熱意に触発されて誕生しました。現地での体験が、より深いパーソナライズド・コレクションへとつながります。
女性におすすめの旅行先は?
世界中どこでも価値があります。安全面で不安がある地域は、信頼できるパートナーと同行するのがベストです。シルバーレイは目的地に精通したガイドとともに、女性が安心して本物の体験を享受できるようサポートします。
女性が避けた方が良いと考える場所は?
性別で行き先を限定すべきではありません。すべての地域に美しさと文化は宿っています。ただし、遠隔地では現地の慣習や文化に配慮し、慎重に行動することが重要です。インドの一部の村では、白人女性に対する好奇心が強く、子どもたちが髪に触れようとする光景もありました。
初めての一人旅はいつですか?
実は7、8歳の頃にすでに一人で飛行機に乗っていました。両親が海外出張中に「未成年」タグを付けて移動した経験です。本格的な大人の一人旅は、ベルリンの壁が崩壊した瞬間でした。友人と共に飛び立ち、東西ベルリンを同じ夜に体感したことは、生涯忘れられない思い出です。
これまでにできなかったことは?
船の設計には関わっていませんでしたが、RCLパートナーシップのおかげで現在は複数のプロトタイプ開発に携わっています。また、IPOの準備を担当したことはなく、金融コミュニケーションに興味はあるものの実現には至っていません。
旅行のインスピレーションはどこから得ますか?
旅先そのものが最大のインスピレーションです。ビジネスでもプライベートでも、各旅行が次の旅へのヒントになります。読書も大きな情報源です。大切なのは『どこかから逃げる』のではなく、『どこかへ向かう』意識で旅をすること。現地に身を委ね、今この瞬間を体感することが本当の旅行です。
スピードラウンド:Fathom質問票
好きな旅行先:インド。
行きたい場所:ラオス。
変わった旅行習慣:できるだけ自分の食べ物を持参する。
機内リラックス法:ワインと本。軽食を心がけ、機内時間はメールチェックに充てることも。
機内持ち込み必需品:Mac、iPad(テレビ番組・書籍入れ)、数冊の雑誌。広告から目が離せません。
コンシェルジュかDIYか:場所により使い分けますが、基本はDIY。安全が求められる地域は同行がベスト。
観光スタイル:全てを見たい、でも急がない。人生はマラソンです。
移動手段:自分で運転したい。
旅のヒーロー:父。好奇心旺盛で、旅行に惜しみなく投資してくれました。
旅行中に見た奇妙な光景:マレーシア北部で、ジャングルの清掃員(昆虫や現地の人)が食後の掃除を担当している姿を目にし、以降何でも食べられる自信がつきました。
お気に入りのホテル:ウダイプルのタージ・レイク・パレス。別世紀にタイムスリップしたような感覚。
夢見る食事:ナポリのトラットリア・ダ・チチオット。
最高のホテルアメニティ:東京オークラホテルの着物。
子どもの頃の旅行思い出:エジプト・アレクサンドリアへのバス旅。
訪れる先で必ずチェックするもの:市場。地元の食文化を学ぶのが好きです。
新しい街での最初の行動:朝のジョギング。ビジネスで忙しいときでも、街のリアルな暮らしを感じられます。
持ち帰るもの:レシピ。
再び訪れたくない場所はない:世界の多様性はインスピレーションと活力の源です。
旅の目的:心を開き、色や文化の壁を越えて、世界は一つだと実感することです。
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