ハーカート・スタジオ:グラマーショット発祥の地
ハリウッドのグラマーショットが生まれたスタジオ・ハーカートを巡る。アイコンは一瞬のフラッシュで生まれる。
パリ・8区。シャンゼリゼ通りやグラン・パレ、モンテーニュ通りといった観光名所の間に、静寂に包まれた高級住宅街が広がる。その中心にあるのが、かつてエディット・ピアフが若き日々に撮影された、黒白ポートレートの代名詞、スタジオ・ハーカートである。
「ここに来る人はあまり多くありません」とハーカートの商業ディレクター、ジョージ・ヘイターは語る。10 rue Jean Goujon の入口は、ツタに覆われた中庭へと続き、そこには高級車が静かに停められている。街の喧騒を避け、著名人は直接スタジオの扉まで車で向かうという。
三つ揃いのスーツに身を包んだヘイター氏は、階段を上がりスタジオへ案内してくれる。フランス上流社会でしか知られていないと笑うが、実際にはクラーク・ゲーブルやオードリー・ヘプバーンといったハリウッドの巨星もハーカートのレコードに名を残している。
実は、裕福ささえあれば誰でもハーカートのポートレートを残せる。プレミアム・ポートレートは1,900ユーロで最低2時間、インスタント・ポートレートは900ユーロで1時間、胸から上の撮影になる。年間1,000枚ほどの写真が制作され、その95%は富裕層の匿名依頼者だ。
撮影機材の説明を受ける間、ヘイター氏はまるでヘッドショットの被写体のようにポーズを取る。その瞬間、まるでカリー・グラントの幽霊が宿ったかのように目が光り、柔らかな光輪が彼を包む。ハーカートの美学は、最高峰のセレブを半神的に、手の届かない存在として映し出すことにある。
1934年創業以来、ハーカートの魔法は光の使い方にある。スタジオ内には複数のスポットライトが配置され、男性と女性で光の形が変わる。男性は角度のはっきりした光で頬骨を際立たせ、女性は柔らかな前面光で対称的な顔立ちを照らす。フラッシュは一切使用しない。
撮影後2週間ほどで、被写体はスタジオに戻り約20枚の中から1枚を選ぶ。選ばれた画像はデジタルでレタッチされ、白いマットに入れられて受け取ることになる。「郵送はしません。ハーカートは儀式と関係性、唯一無二のサヴォワフェールを大切にしています」とヘイター氏は語る。控えめでありながらも確かな技術が、現在も昔も変わらぬフランスの美学を体現している。
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