シエラ・エスプーニャでの山岳バイク体験
はじめに
正直に言うと、私は暑さが苦手です。イタリア系の血を引いているものの、-18℃のオーストリアのスキー場の方が好きです。太陽は好きですが、ほんの少しの日差しで肌はコロンビア産エスプレッソのように色づきます。そんな私が、今回スペイン・ムルシアのコスタ・ブランカへ1週間の休養に向かいました。
ムルシアへの旅と滞在先
自営業を始めて忙しい一年が過ぎ、リフレッシュが必要と感じたので、ゴルフコースに面したアパートを借りました。ゴルフはしませんが、プールサイドで読書以外に何ができるか調べるため、まずはGoogleマップで周辺をチェック。衛星画像に映る森に覆われた山々が目に留まり、国立公園が点在していることが分かりました。
シエラ・エスプーニャとは
調査の結果、シエラ・エスプーニャは森林に覆われた山岳地域で、かつて氷を保存するための『ポゾス・デ・ラ・ニエベ』や修道院が点在しています。ハイキングが主なアクティビティとされますが、マウンテンバイクにも適していると紹介されていました。さらに、オレンジバイク創業者のスティーブ・ウェイドがこの辺りで走っていたという噂もあり、冒険心が刺激されました。
ムルシアとその周辺
ムルシアはアリカンテやベニドームのすぐ南東に位置し、海岸線にはイギリス人やノルウェー人が所有するリゾートタウンが点在します。内陸部は観光客が少なく、スペイン本来の文化が残っています。空港はサン・ハビエルにありますが、街自体は約45分車で離れた場所にあり、歴史的建造物とタパスが楽しめると評判です。
出発と道中の風景
朝早くにホテルへ向かい、ムルシア市街を抜けるとコーヒーショップが開店し、スイカやアーティチョークを積んだトラックが市場へ向かいます。車の温度計は25℃。高速道路で山脈を越え、谷間の丘陵へと進むと、緑から乾いた黄土色へと景色が変わります。アルハマ・デ・ムルシアで高速を降り、最後の10kmは風の強いC-3315号線を通り、レモン畑と静かな村々を抜けてゲバスの町へ向かいました。
ホテルとガイドのトム
山の斜面にひっそりと建つホテルに到着。中庭では朝食を楽しむ宿泊客の声が聞こえ、遠くに青いラグーンが見えます。オーナーの息子トムが迎えてくれ、濃厚なコーヒーを差し出しながら、近くのミルキー・ブルー湖や四輪バイク用のトラックコース、ハイキングコースなどを案内してくれました。
バイクの準備とルート計画
レンタルしたアルミフレームのマウンテンバイクは少し調整が必要でした。サドル高さを合わせ、ブレーキの残量を確認し、スペアチューブをチェックした後、出発です。午前中は公園の奥深くへ向かい、標高1583mのモロン・デ・トタナ山麓まで登り、昼食は最も暑い時間帯に取る計画でした。
道中の出会いと休憩
小さな集落を通り抜け、古いガレージで給油。途中、プロチームのサイクリストが走り抜け、コーチのベスパに乗った選手が指示を受けていました。暑さが厳しくなったため、エル・ベロという小さな村で休憩。地元の人は珍しそうに私たちを見ましたが、広場の水飲み場へ案内してくれ、アイスクリームを提供してくれました。
昼食と眺望
山の中腹にあるレストランで、グリルした肉とサラダ、レモネードをいただきました。外のテラスにバイクを置き、下の平原や遠くの青いラグーン、砂利採掘場のトラックが走る様子を眺めました。空は雲一つなく、鳥だけが舞っていました。
午後のダウンヒル
午後4時頃、再びバイクに乗り込み、森林へと入ります。急勾配のヘアピンカーブや小さなドロップオフが続き、枝や岩が道を塞ぎますが、そこが逆にテクニカルなトレイルの魅力です。岩はジャンプ台になり、木の根が車輪を掴むように見えました。約1時間にわたり、シングルトラックを駆け下り、途中の展望台で景色を楽しみながら水分補給。スペインなのにメキシコやネバダ砂漠のような風景が広がります。
総括と感想
1日の走行距離は約30km。朝の暑さと登りは大変でしたが、午後のオフロード降下がそれを補ってくれました。最後はアルハマの町近くで集合地点へ戻り、ホテルオーナーのマークが迎えに来てくれました。彼は「ここ12か月で雨が4日しか降っていない」と語り、トレイルが乾燥している理由を説明してくれました。冷たいビールで乾杯し、家族と語り合った後、アパートへ戻ります。山で全力で走り抜けた後の笑顔ほど、最高のリフレッシュはありません。
この地域はまだマウンテンバイクのレーダーに載っていないため、孤独な自然を存分に楽しめます。イギリスの典型的なリゾートからわずか1時間で冒険が待っていることを実感しました。スティーブ・ウェイドに会えたかどうかは、ここでは秘密です。




