ジンギスカンの足跡をたどる旅
タイム・コープは、1998年にオーストラリアの法学部を中退し、フィンランドで自然ガイドの養成コースに参加したことがロシア・モンゴル・中央アジアへの関心のきっかけとなった。北極圏の森林とツンドラを学びながら、ロシアへのカヌー・徒歩・スキー遠征を経験し、崩壊直後のロシアで人々が狩猟・漁撈・山野の食料に頼って暮らす姿に衝撃を受けた。
ロシアとシベリアでの語学と冒険
ロシア語は1998年に学び始め、以後ウクライナ、モンゴル、中央アジアでも生活し、ロシア語が不可欠な環境で鍛えられた。代表的な冒険は、1999年に予算1日2ドルで北西ロシアから北京へ自転車で走破した14か月の旅、イエニセイ川を4500kmボートで下り北極海へ向かった航海、そしてモンゴルからダニューブ川まで馬で横断した3年にわたる旅である。
ジンギスカンの道への挑戦
ジンギスカンの足跡をたどる大規模な旅は、2000年9月にモンゴルで自転車旅行中に着想を得た。遊牧民が季節や境界にとらわれず広大なステップを馬で移動していたことに感銘を受け、馬と共に西へ向かい、最終的にヨーロッパのダニューブ河口まで辿り着く計画を立てた。
準備期間は約18か月。馬の装備、境界通過の許可、資金調達、そして歴史的・文化的背景の調査に時間を費やした。過度な計画に陥らないよう、準備期間は限定し、予期せぬ困難を乗り越える力を養うことを重視した。
直面した危険と学び
馬の扱いが未熟だったため転落や負傷のリスクが常に付きまとうほか、馬の盗難や狼の襲撃、極端な気温変化(冬は-40℃、夏は40℃超)に苦しめられた。特にカザフ砂漠の夏は夜間走行と遊牧民のテントでの休息で対処し、氷河期のような極寒では馬が雪で水分を得られることを活かした。
孤独感も大きな課題で、3年以上にわたる単独行程の中で家族や友人の支えの重要性を実感した。ウクライナで父親が事故死したときは、旅を一時中断しオーストラリアへ戻ったが、再び旅路に戻り最後の千キロを走破した。
馬と犬が教えてくれたこと
ステップの馬は食料と水を自ら探し、環境に適応した唯一の生き物であり、旅のナビゲーターとなった。犬のティゴンは、狼からの警戒や人々との交流において重要な役割を果たし、旅の精神的支えでもあった。
現在と未来
過去7年間は、旅の映像シリーズと書籍の制作に注力。次なるプロジェクトは、ティゴンの視点で描く子ども向け絵本と、ヤングアダルト向けの新刊である。また、インドからヨーロッパへのジプシートレイルや、チベット・カシミールでの遊牧民との一年暮らしなど、次の冒険も企画中だ。
タイム・コープの旅は、言語と文化を学び、自然と共生する方法を体感しながら、過去と現在をつなぐ架け橋となっている。




