アイスランドは女性が世界をリードする国
女性旅行者を称える一年間の企画の一環として、アイスランドにスポットライトを当てます。男女平等で世界をリードするこの国で、5人の女性フード起業家が実践する成功の秘訣をご紹介します。
アイスランドは2021年1月1日、世界初の「同一労働同一賃金」法を制定しました。従業員25名以上の企業は、性別に関係なく同等の給与が支払われていることを証明する認証を取得しなければなりません。私がプロモート・アイスランドとデンマーク食糧機構が企画した、アイスランドの女性シェフたちとの対話ツアーに参加したとき、熱烈な歓迎とピンクの帽子を期待したものの、現地の女性たちはむしろ自然体で、誇り高く受け止めてくれました。
「女性への敬意は我が文化の根底にあります」‑ レイキャビクのチーズショップオーナーで食の伝道師、エイルニ・シグルダルドッティルは語ります。「『何でもできる、あなたは平等だ』という姿勢が根付いているのです」
実際、アイスランドの女性はすべてをやり遂げます。レイキャビクからフルディールへ向かうバスツアーで出会った女性起業家たちは、ウイスキー蒸留所からトマト農園まで、様々な分野で成功を収めています。彼女たちの共通点は、挑戦への自然な自信と、"誰かがやらなきゃ、ならば自分がやる"という覚悟です。
国もそれを後押ししています。1991年以降、アイスランド福祉省は革新的なビジネスアイデアを持つ女性起業家に助成金を交付し、雇用創出を支援しています。また、世代を超えて家族全員が関わるビジネスが多く、女性のアイデアが家族全体の財産となる文化が根付いています。
以下、食・飲料・農業分野で活躍する5人の女性をご紹介します。
トマト農園とレストラン – ヘレナ・ヘルムンダルディット
「私の農場へようこそ」‑ ヘレナは赤と緑のツルが垂れ下がる温室の前で語ります。夫のクヌートゥルと共に経営するフリッドヘイマルは、レイキャビクから約1時間のレイクホルトにある、年間を通じてトマトを栽培しレストランを併設した施設です。1995年に荒れ果てた温室を買い取り、現在ではアイスランド第2位のトマト生産者に成長。地熱エネルギーと無農薬栽培で、年産370トンのプラム、フレーバーノ、ピッコロトマトを育てています。家族全員が収穫やレストラン運営に参加し、観光客にも好評です。
家族で作るカフェ – ハラ・マリア・スヴァンスドッティル
ブルーラグーン近くのグリンダヴィックにあるカフェ「ヒャ・ホッル」は、ハラと母親がキッチンで、父と兄が配達、夫がオンライン注文システムを担当する、まさに家族経営です。北欧モダンな店内は温かみがあり、手作りのパンやペストが並びます。2012年に自宅で栄養講座を始めたハラは、自然食品の重要性を実感し、やがてレストランへと拡大。現在は地元客と観光客で賑わい、1日300〜500件の配達注文を受けています。
意外なマイクロブリュワー – アグネス・アンナ・シグルダロットティル
夫が漁師として膝の怪我で仕事を失ったことがきっかけで、裏山の湧き水を使ったビール造りに挑戦。小さな漁村アルスコーグサンドゥルにアイスランド初のマイクロブリュワリー「カルディ」を創業しました。現在は10年目を迎え、チェコスタイルの未加熱ビールを製造。息子のシグルドゥールがブルワーマスターとして経営に参加し、家族全員が夏季に作業を手伝っています。
カルディのビールは国内各地で楽しまれ、暗黒ピルスナーやIPA、ハリス島産アンジェリカ使用のスタイニングスなど多彩です。ビールスパや醸造所ツアーも人気で、訪問者はビールを飲みながらリラックスできます。
子どもに優しいレストラン – ゴット(Gott)
西マン諸島で育ったベルギンド・シグマルス夫妻は、息子のトゥレット症候群を食事療法で改善した経験から、健康志向のレストラン「ゴット」を2014年にオープン。グルテン・砂糖・乳製品を除いた料理で、家族全員が調理に関わります。地元住民が掃除や食器の提供を手伝い、まるで地域の居場所のような温かい雰囲気が特徴です。
ウイスキーの先駆者 – エヴァ・マリア・シグルヨンスドッティル
家族農場の大麦を使ったウイスキー造りに挑み、2009年にアイスランド唯一のウイスキー蒸留所「エイムヴェルク」を設立。100%アイスランド産大麦と地熱エネルギーで作られるシングルモルトやジン、アクアヴィットは、ジュニパーやシラカバ、ルバーブ、海藻の風味が特徴です。家族全員が原料栽培から樽作り、瓶詰めまで関わり、互いの得意分野を補完し合っています。
女性旅行者のさらなる情報
Women in Travelの特集記事や、トルコ・バンの乳牛農家、ガザのキッチン人類学など、さまざまなストーリーが続きます。




