香港の隠れた魅力:シンガロン・パーラーとモダン寺院
香港は世界的な注目を浴びる都市であるため、真の隠れ家はなかなか見つかりません。住民は世界各地を飛び回り、情報を自由に共有するため、都市と外部の壁は薄くなりがちです。しかし、アクセスが限られたり記憶に残りにくかったりする、特別な体験は今も数多く存在します。
今回は、香港の知る人だけが楽しめる隠れたスポットをご紹介します。
恐竜時代の六角形火山岩
サイコンに点在する六角形の火山岩柱は、ユネスコが認定した香港グローバルジオパーク(geopark.gov.hk)に位置する、国内でも屈指の絶景です。約1億4千万〜1億6千万年前の白亜紀に形成された、火山活動と堆積作用の結晶です。
海上からの眺めが最も迫力あるため、約3時間のボートツアー(ガイド付きまたはプライベートチャーター)がおすすめです。海食された岩柱、絶壁、隠れた入江、アーチや洞窟など、自然が作り出した劇的な風景が広がります。

黄土色のシリカ豊富な酸性岩は、海と空の青と鮮やかに対比し、典型的な暗灰色の玄武岩とは一線を画します。これらは幅20kmのスーパー火山カルデラ内で冷却・固化し、後に海面上昇で浸食された結果です。ツアー情報は「Recommended Geopark Guide System」(hkr2g.net)をご参照ください。
レトロなシンガロンサロン

油麻地の路地裏にある色あせた看板の『レストラン』は、実は懐かしいシンガロンサロンです。かつてはナイトクラブや麻雀場、さらには路上オペラの発祥地として栄えました。1970〜80年代に雨よけステージと華やかな照明が設置され、今も数軒が残っており、オルガン奏者や多才な歌手が広東オペラからカーペンターズまで幅広く歌い上げます。
入場料はHK$20でお茶とピーナッツが付属。歌一曲につきチップ(HK$50〜100)やリクエスト(HK$50)で収入を得ています。常連はウイスキー片手に酔っ払う年配男性が多く、夜9時以降が最高潮。フードデリバリーと近くのコンビニでドリンクを用意すると快適です。おすすめは寺廟通りの「Canton Singing House」や、隣の「Jyut Wan Go Zo」などです。
海に根ざす『大排档』

香港島のアプ・レイ・チャウにある「アプ・レイ・チャウ・クックドフードセンター」は、アバディーン台風避難港を見下ろす露天式の大排档が特徴です。近隣には香港最大のタンカ漁民コミュニティがあり、かつては船上生活が普通でした。地下の湿市場では野生の黄鱗(ウィルドイエロークロッカー)やウミホタテなど希少な海産物が販売され、好みの魚介を購入後、各スタンドで調理してもらえます(例:Pak Kee 2555‑2984、Chu Kee 2555‑2052)。価格は西貢やラマ島よりも安く、事前に金額を確認してください。
このエリアはドラゴンボートの練習後にビールと談笑を楽しむ選手たちで賑わい、活気ある雰囲気が味わえます。
香港が誇る写真家たち

密集と空間、光と影のコントラストが豊かな香港は、写真芸術の宝庫です。代表的な人物は、映画的な構図で世界的に評価されたファン・ホー(1931‑2016)、空間と女性像を巧みに描いたシェン・ナンシー(1914‑1979)、そして社会的・政治的視点をアートに融合させる若手のギャヴィン・オウ(1982‑)などです。
展示はLumen Visum(lumenvisum.org)、AO Vertical Art Space(aovertical.com)、Blindspot Gallery、La Galerie(lagalerie.hk)などで開催されています。また、毎年8月から11月に開催される香港国際写真祭(hkipf.org.hk)は、年に1回の11月開催がオフイヤーです。
手頃な宿泊:歴史とモダンの融合

果樹園に囲まれた丘陵に位置する「Heritage Lodge」は、ジャオ・ツンイー学院(jtia.hk)と隣接し、ギャラリーや蓮池があります。かつては南アフリカ鉱山への移民の労働者宿舎、後に刑務所・病院として利用された歴史的建物で、ビクトリア様式と中国様式が融合したレンガ造りの外観が特徴です。部屋は音楽・囲碁・詩・書道・絵画といった中国古典文化をテーマに装飾されています。
もっとカジュアルで安価に宿泊したいなら、バックパッカー向けの「Wontonmeen」がおすすめ。広々としたドミトリー、カフェ/ショップ、レトロなラウンジに映画用シートや香港グッズが揃い、映画ナイトや近隣散策、レンタサイクルなどのプログラムが充実しています。
現代的な仏教寺院

李嘉誠氏が委託した「慈山寺」(tszshan.org)は、伝統と最先端デザインが融合した巨大仏教施設です。敷地面積は約5万平方メートルで、アフリカ産ジタン材を用いた鋼骨構造により柱のない広々とした空間が実現。屋根は唐代の簡素さを意識した灰色瓦で、全体に静謐な雰囲気が漂います。仏像や大広間、回廊は仏教教義を視覚的に伝える設計です。入場は予約制(枠が限られる)ので事前に予約が必要です。遠方からは76メートルの観音像(大仏の2倍)を眺めるだけでも感動です。




