ツール・ド・アルピーユ:ベビーと自転車で巡るフランス近郊クライミング旅行
ロッククライミングのプロとして長年、エチオピアの砂岩塔や世界各地の未知の岩場を巡ってきました。ロッククライミングは私たちにとって日常であり、常に新しい冒険を求めて旅を続けていました。そんな私たちが、家のすぐ近く、フランス国内100km圏内で同じ感動を味わえるとは、当時は想像もできませんでした。
ベビーと共に挑む新しい冒険
5月下旬、妻のジェームズと赤ちゃんのアーサーを連れて、フランス新規規制に合わせた形で冒険を計画しました。電動自転車とトレーラーを使い、1台はクライミングギア、もう1台は赤ちゃんを乗せて、ほとんど知られていないエステザルグの岩場へ向かいました。重い自転車とトレーラーを引きながらの未舗装トレイルは、最初の日は登れずに終わってしまいました。
ベビーと共にするスポーツクライミング
赤ちゃんを連れたクライミングは全く新しいディシプリンです。アーサーが生後数週間の頃から岩場に連れて行き、寝かせる場所や安全な遊びエリアを作り、必要に応じてキャリアでベルトを装着したままベルトを巻くことさえしました。ウォームアップが終わったらベビーを抱えていない状態で本番に挑むという、家族全員での協調プレイが求められます。アーサーが成長し自立できるようになるにつれ、私たちのやり方も変化し、毎回新しい工夫が必要です。
エステザルグでの初登攀
アーサーが小さなエリアで手足を使って探索しながら、私たちはついに初めての登攀に成功しました。エステザルグは車で少し離れた場所にあるため、以前は遠くの岩場を選んでいましたが、実は自宅から15分の距離に魅力的なルートがあることに気づきました。岩は美しいとは言えず、ホールドは鋭く削れたものやシカの糞が付着したものもありましたが、ロックダウンで2か月間クライミングできなかった私たちにとっては貪欲に挑む対象でした。最高は8bを確保し、アーサーはついに歩く練習を始めました。
オルゴンとラ・ベルジュリーでのリズム
オルゴンではリズムが見つかり、ラ・ベルジュリーでジェームズは8cと8b、私は8aのオンサイトを成功させました。ジムでの2か月間の無制限トレーニングの成果が出た瞬間です。アーサーにとっても小さな壁が安全な探検エリアとなり、日々の冒険が家族全員の楽しみになりました。
一方、フェティッドビーチのゴダス・クリーン(8a)は私にとって低迷点でしたが、ベビーと祖父母がいる環境での旅ではなく、全てを自転車とトレーラーでこなすという妥協があったため、すぐに諦めて笑い飛ばすことができました。
自転車で辿るアプローチの冒険
毎朝はチョコレートパン、コーヒー、クロワッサンの豪華ブレックファストから始まり、トレーラーの荷物を最適に積み、アーサーをシートに固定して出発。ペースはゆっくりで、パンク修理やバッテリー充電、オムツの補充といったシンプルな課題だけです。時間や大きな目標に縛られないことで、自然と生活そのものを楽しむ余裕が生まれました。
ブー(Buoux)でのハイライト
旅の最終地点は、私が30代になるまで本格的に認識していなかったクライミングの聖地、ブーです。谷底から眺める色彩は壮麗で、ルートごとに独自のジェスチャーが求められます。50年以上の歴史を持つこの岩場は、まるで手入れの行き届いた老婦人のようです。エドリンガーやル・メネストレル、ムーンといったルートはそれぞれ逸話があり、7aでも簡単に登れません。西壁のリムボと新設されたシークレット・ケイブは、どちらも世界クラスの難易度ですが、岩質は全く異なります。西壁は指先とテクニカルなフットワークが要求されるリムボ、ケイブはパワフルなホールドで前腕力が試されます。
1か月にわたる家族での自転車とクライミングの旅を終え、最後の2時間のサイクリングで帰路に着くと、完璧な月間を過ごした実感が胸に満ちました。マウンテンバイクとクライミングを組み合わせたこの冒険は、今後も必ず再び挑みたい体験です。




