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モザンビーク・トフォで遭遇したオルカの餌取りシーン

はじめに

『水中で呼吸できるのは不自然だ』とよく言われますが、私は海の生き物を撮影し、執筆するプロのスキューバダイバーです。海は人間にとっては異星のような環境。ヒレやエラがなければ、プラスチック製のフィンやタンクは必要ありません。

海底には刺すクラゲや歯の鋭い捕食魚、バスより大きい哺乳類、そして空を飛ぶように見える巨大な『鳥』がいます。予測不可能で濁りやすく、船酔いしやすい海ですが、そこに魅了される理由は確かにあります。

世界のダイビングスポットを巡って

ここ数年、私はマダガスカルでマンタと泳ぎ、ケープタウン近海で牛サメと遭遇し、ザンジバルでイルカやザトウクジラの親子を撮影してきました。その中でも、最も心に残る体験はモザンビーク・トフォでの出来事です。

トフォでのドキュメンタリー取材

南東モザンビーク、インハンバネ州の小さな漁村トフォで、サメのひれ取り(サメのひれだけを切り取って残りの体を海に捨てる行為)に関するドキュメンタリーを制作しました。ヨハネスブルグから約2時間のフライトで行けるこの町は、観光客に人気のダイビングスポットでもあります。

モザンビークは、年間を通じてジンベエザメやマンタが多く見られ、イルカ、ザトウクジラ、デビルレイ、ゲームフィッシュの大群、そしてマクロ生物の宝庫です。海況は荒れることもありますが、好条件のときは他に類を見ない美しさです。

予想外の出会い

出航したビーチはコンクリートの箱屋根の家が並び、波は夜になると荒れますが、海中は別世界。出航直後、イルカの群れが遊び心たっぷりに近づき、デビルレイが空中でパンケーキのように跳ね回っていました。

そのとき、空には大量の鳥が円を描き、海面には無数のヒレが見えました。近づくと、そこには約10頭のオルカ(シャチ)の群れがいて、何か大きな獲物を捕らえていました。浮かんでいたのは、赤ちゃんザトウクジラのように見える肉塊です。

オルカとのスノーケリング

オルカは肉食で知能が高く、群れで狩りをします。野生で人を襲う例はほとんどありませんが、飼育下での事故は有名です。モザンビークでオルカに遭遇するのは数年に一度の稀な出来事。地元では水中でオルカと同時に泳ぐ人はほとんどいません。

しかし、アドレナリンが私を突き動かし、すぐにスノーケル装備を身に着け、現地ダイブセンター「Peri Peri Divers」のインストラクター、デイブ・レヴァック氏と、Marine Megafauna Foundationの研究者ヘレン・ミッチェル氏と共に海へ潜り込みました。

水中に入ると、血と肉の匂いが漂い、黒と白の巨大な影が闇の中で泳いでいました。そこへボートから「左側にサメ!右側にも!たくさんいる!」という叫びが。

牛サメの群れが餌取りに加わり、テストステロンが最も高いとされる彼らは激しく迫ってきました。私たちはカメラをサメの鼻先に向け、フィンで押し返しながら必死に距離を保ちました。一方、オルカは自分たちの獲物に夢中で、私たちの存在には全く興味を示しませんでした。

十分に観察した後、私たちはボートへと急いで戻り、胸が高鳴り、体は疲れ切っていましたが、忘れられない体験を胸に刻みました。

その後のダイビングと余韻

その日の後半は、ジャンプする巨大マンタ、ジンベエザメ、そして再びデビルレイを目にしました。最後のダイブの直後、ハンプバッククジラの尾びれが水面を叩く音が聞こえました。もしかすると、先ほどの赤ちゃんを失った母クジラが、遠くへと旅立つ姿だったのかもしれません。

海は容赦ない場所ですが、そこに生まれる瞬間は一生の宝物です。


モザンビーク・トフォで遭遇したオルカの餌取りシーン

モザンビーク・トフォで遭遇したオルカの餌取りシーン

モザンビーク・トフォで遭遇したオルカの餌取りシーン

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