ユーモン・クエスト 2012年レポート – 1000マイルの冒険
はじめに
1,000マイルのソリ犬レースのゴールラインで聞いた「数秒の差が勝負だ」という言葉は、想像していたものとは全く違いました。しかし、ヘッドランプが上下に揺れながら近づく様子を見て、私の心は高鳴っていました。
2週間前、私は飛行機を降り、北の壮大な美しさに初めて触れました。冬真っ只中のアラスカ。息をするとまつ毛に霜が付くほどの寒さで、外に出ると鼻腔がすぐに凍りつきました。滑りやすく凍てつく大地に胸が高鳴り、冒険はまだ始まっていませんでした。
ユーモン・クエストとは
ユーモン・クエストは、米国アラスカ州フェアバンクスからカナダ・ユーコン準州ホワイトホースまで、約1,000マイル(約1,600km)を走るソリ犬レースです。マッシャーは最大14頭の犬と共に、レース中に必要なすべての装備と食料をソリに積んで出発します。2012年は第24回大会で、世界各地から集まった23チームが挑戦しました。
スタート地点フェアバンクス
フェアバンクスのスタートラインは-20°F(約-29°C)という極寒の中、マッシャーたちが朝からチームの準備に余念がありませんでした。犬の耳や氷のひげが至る所に見られ、熱気をまとった観客が川岸に列を作り、熱狂的に応援していました。
私も雪の土手にカメラを構え、ゴープロを装着した仲間たちと共にスタートの瞬間を待ち構えていました。カウントダウンが終わると、最初のマッシャー、アレン・ムーアが一斉に出発。
途中のチェックポイントと北極光
スタートから101マイル目のチェックポイントでは、夜空に鮮やかなオーロラが踊り、星々と犬の遠吠えが混ざり合う幻想的な光景が広がっていました。マッシャーたちは数時間の睡眠を取るか、暗闇の中でキャンプを続けるかを選び、天候や山岳部の通過計画に合わせて走行と休息を繰り返していました。
ダウソン・シティでの中継
約数百キロ走った先にあるダウソン・シティは、金鉱熱が最盛期だった19世紀の雰囲気が残る雪に覆われた町です。ここでは36時間の強制休息が設けられ、マッシャーは金貨(4オンス)を受け取りながら、北極光や幻覚的な体験を語り合いました。
私自身もマッシャーの指導者ハーヴィーと共に、実際にソリを引いてみる体験をしました。小さな丘で転倒しながらも笑い合い、氷点下の環境での髪の凍結の危険性を学びました。
最終チェックポイントとゴール
最後のチェックポイント、ブレイブァーンはゴールまで161km。ここでリード争いはアレン・ムーアとヒュー・ネフの間で激化し、ネフはペナルティで30分の遅れを取られ、ムーアが42分のリードを得ました。
2月14日午前5時、暗闇の中でヘッドランプが次々と現れ、観客の歓声が沸き上がります。ヒュー・ネフが先にゴールラインを越え、アレン・ムーアが数秒後に追いすがる、レース史上最も接戦のゴールが実現しました。
ゴール後、再びオーロラが白馬市上空に舞い、旅の締めくくりとして壮大な光のショーが広がりました。ユーモン・クエストの文化と仲間意識は、私にとって一生忘れられない冒険となりました。




