レバノンのワイントレイル:ブドウ畑と谷を巡る旅
レバノンの山岳地帯と涼しい気候は、何千年もの間ブドウの木を育み、世界でも最も古いワイン生産地域のひとつとなっています。歴史的な紛争や地域の不安定さにもかかわらず、国内のワイン産業は活況を呈し、訪問者を歓迎するワイナリーが自慢のヴィンテージを体験させてくれます。

レバノンの豊かなワイン史
ブドウ園は紀元前数千年にはすでに栽培されていたと考えられ、紀元前2000年頃にフェニキア人の交易者がブドウを持ち込みました。中世を通じてこの地域はワインで名を馳せました。1517年からのオスマン支配下では、宗教用途を除き生産が禁止され、キリスト教コミュニティがブドウ栽培を続けました。近代的なワイン製造が本格化したのは1857年、イエズス会の宣教師がベッカ谷に優良なブドウと醸造技術を導入したことが基礎となります。

レバノンのワイン醸造が直面した課題
1975〜1990年の内戦や2006年の7月戦争、さらなるシリア情勢など、何世紀にもわたる紛争が産業に影響を与えてきました。シリア国境に近いベッカ谷は難民キャンプやヒズボラの活動があり、旅行者は最新の治安情報を確認する必要があります。それでも業界は成長を続け、内戦後は8つだったブドウ園が現在は42を超えています。レバノンワイン協会(Union Vinicole du Liban)の統計によれば、年間生産は800万本以上で、その半分がヨーロッパ、カナダ、米国へ輸出されています。

おすすめワイントレイルスポット
レバノンの代表的なワイン産地は、ベイルート東部に位置するベッカ谷(雪に覆われたレバノン山とバアルベックのバッカス神殿に近い)と、北部沿岸のバトルーン(古代ビブロス近く)です。レバノンワインは多様性が特徴で、単一のシグネチャー品種はなく、白・赤・アラックと幅広いラインナップがあります。
シャトー・クサラ・ケイブ
ベッカ谷で1857年にイエズス会が創業した、国内最古の大手生産者です。映像紹介の後、歴史的な洞窟ツアーを体験し、専用ルームでテイスティングができます。
おすすめ: Cuvée du Troisième Millénaire — フランスオーク樽で熟成された赤ブレンド。

シャトー・サン・トーマス・グロット
クサラ近くに位置し、聖人を祀るグロットが特徴のワイナリーです。
おすすめ: Chateau St Thomas Pinot Noir — レバノン初のピノ・ノワール。
シャトー・ケフレイア
山々の景観を眺めながら、赤・白ワインのテイスティングが楽しめます。「列車」ツアーでブドウ畑と地下室を巡り、敷地内レストランで食事も可能です。
おすすめ: Comte de M — カベルネ・ソーヴィニヨンとシラーのブレンドで、赤好きに好評です。
IXSIR
バトルーン(ベイルートから北へ約60km)への日帰り旅行に最適。国内全域からブドウを調達し、レストランは事前予約が必要です。
おすすめ: IXSIR Altitudes Blanc — 乾いた爽やかさとフルーティーさが夏のアウトドアにぴったりの白ワイン。

実用的なワインツアーのヒント
ベッカ谷やバトルーンのトレイルではドライバーを手配し、チェックポイントでパスポートを持参してください。ベイルートでは土曜のSouk El Tayebや地元レストランのワインリストで試飲が楽しめます。
旅行のインスピレーションや専門家のコツ、限定オファーは週刊ニュースレターにご登録ください。




