なぜ人は地下世界に惹かれるのか:深層への探求
人類が洞窟や地下空間に魅了され続けてきた理由は何でしょうか? デイビッド・ファーリー著『Underground Worlds: A Guide to Spectular Subterranean Places』がその答えを探ります。
イタリア・カルカタ(CALCATA)――数年前の12月21日、真夜中に私はイタリア中部の火山岩の切り立った崖の奥、深さ約18メートルの洞窟に座っていました。そこは中世の丘の町カルカタに囲まれた場所です。
この村は中世の先人がワインの貯蔵や不審者の収容のために掘り込んだ洞窟が網の目のように広がっています。私が訪れた目的は、ヒッピーや芸術家が集うこの奇抜な村を取材し、本にまとめることでした。もちろん、捕まらずに脱出したいという思いもありました。
その夜、私は冬至の儀式に参加していました。隣の洞窟に住む、カラスを数十羽飼う赤毛の60代女性アソン(Athon)に導かれ、笛を吹き太鼓を叩く儀式を五人で行いました。
「なぜ村の広場や自宅でやらないの?」と私が尋ねると、アソンは「エネルギーよ!地下にいると、地球のエネルギーが手に取るように感じられるんだ」 と答えました。
ろうそくの灯りが壁に揺らめく中、私は目を閉じてその“エネルギー”を探ろうとしました。するとアソンが私に不思議な表情で見つめました。私は静かに頷き、再び瞑想に戻ろうとしました。
儀式が終わり、洞窟を出て崖辺で月に向かって遠吠えをする時、私の心は不思議な感覚に満たされました。実は、無意識のうちに“地下”に引き寄せられる自分がいることに気づいたのです。
例えば、クラクフ近郊のワイエリツカ塩坑(Wieliczka Salt Mine)へは、情報を聞くだけでバスに乗り込みました。塩の壁に彫られたバロック様式の彫刻は、まさに地下の芸術です。
また、バチカン地下墓地(scavi)へのツアーが可能だと知ると、予約が取れるまで1か月待ちでも、特別に許可された日には必ず足を踏み入れました。さらに、カルカタの「Grotta dei Germogli」やドブロブニクの「Cave Bar More」など、洞窟バーやレストランにも頻繁に通っています。
こうした体験が積み重なり、私は『Underground Worlds: A Guide to Spectacular Subterranean Places』という本を書きました。本書は世界50か所以上の地下スポットを紹介しています。
洞窟のバーでワインを飲み、炭火で焼いたステーキを味わうとき、私たちの集合的無意識に何か原始的な感覚が呼び起こされているのかもしれません。
現代ではスマートフォンに依存しすぎて、地球とのつながりが薄れていると感じませんか? 最近の“ローカルフード”ブームや“原始人食”(パレオダイエット)への関心は、テクノロジーへの依存と同時に、失われた根源への渇望の表れとも言えます。電波が途絶えて数時間、途方に暮れる経験、誰しもしたことがあるはずです。
また、地下は単なる原始的なイメージだけでなく、スピリチュアルなエネルギー場として古来から捉えられてきました。例として、トリノ北部の自称ミクロネーション“ダマンフール連邦”のメンバーが1978年の流星を機に掘削を開始し、十年後には地球エネルギーの主脈と称する場所に多室式の地下寺院を築いたエピソードがあります。
カルカタの崖の上で月光に照らされた谷を見下ろしながら、私も本能的な遠吠えを試みましたが、声はかすかに震えるだけでした。アソンは背中を軽くたたき「大丈夫、また洞窟に戻ろう」と励ましてくれました。ヒッピー的な自分は失敗したかもしれませんが、再び地下へと足を踏み入れられた喜びは大きかったのです。
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