スーパースターで知的なイタリアンシェフ、マッシモ・ボトゥーラとの対話
シェフ・トラベルウィークの冒険は、イタリアへと続く。寄稿編集者エリカ・フィルポと、ミシュラン3つ星・世界ベストレストラン50で第3位に輝くオステリア・フランチェスカーナのオーナーシェフ、マッシモ・ボトゥーラとの会話をお届けします。新作概念料理本や食とアート、そして若き頃の心に残る『プレイボーイ』の影響まで語ります。
モデナでのランチ体験
イタリア・モデナにあるマッシモ・ボトゥーラの3つ星レストラン、オステリア・フランチェスカーナで昼食をしたことを思い出すたび、自然と笑みがこぼれます。パルミジャーノ・レッジャーノに捧げた超越的な料理『The Five Ages of Parmigiano Reggiano(パルミジャーノ・レッジャーノの五つの時代)』を創り出すのは誰でしょうか? そして、ヴェッツォリやカッテランといったアーティストの作品を自宅に飾り、レストランの壁面にも展示するのは誰でしょうか? それがマッシモです。
料理本『Never Trust a Skinny Italian Chef』について
ボトゥーラの新作概念料理本『Never Trust a Skinny Italian Chef』は、コーヒーテーブルに置いておきたくなる美しい一冊です。彼の語り口で綴られたエピソードは、頭・心・胃を通じて読者を旅へと誘います。料理は単なる食べ物ではなく、旅、伝統、視点、そして時に忍耐を巡る個人的なストーリーです。私たちはその全てについて語り合いました。

ボトゥーラの料理本に掲載されたキッチンシーン(写真:ステファノ・グラジエリ)
最初に購入したアート作品は?
最初に手に入れたコンテンポラリー作品は、マウリツィオ・カッテランの『Turisti』です。1997年のヴェネツィア・ビエンナーレで展示されたタクシードミーのハトを見て、同年12月にはモデナの自宅に10羽が届きました。当時はレストランに飾れませんでしたが、2012年のリノベーション後に一部はオステリア・フランチェスカーナの梁に吊るされています。
最近購入した作品と今後のコレクション
長年追い求めていたジョゼフ・ボイスの作品を2点入手しました。ひとつは彼の代表作であるフェルトスーツ、もうひとつは『La Rivoluzione Siamo Noi(私たちが革命だ)』というプリントです。これらはレストランか自宅のどちらに展示するかは未定ですが、ボトゥーラは「アートは自ら私たちを見つけに来る」と語ります。
創作プロセスの定義
ボトゥーラは「現在に生き、日常にとらわれすぎないこと」からインスピレーションを得ると語ります。子供時代はADHDらしい衝動があり、心を自由にさまようことが創作の原点です。新しい場所では必ず地元の食材を味わい、そこで得た経験を料理に取り入れます。中国で餃子の作り方を学び、スリランカでカレー、タイでスパイスのバランスを習得したことが、彼の「文化的荷物」の一部です。
若いシェフには、読書・旅行・自分の文化への深い探求を勧めます。その上で「すべてを学び、すべてを忘れる」ことが重要だと述べ、料理は「魂でフライパンに飛び込む」行為だと強調します。

『Five Ages of Parmigiano Reggiano』の写真(撮影:カルロ・ベンベヌート)
料理とアートの関係
ボトゥーラは現在、デュシャン伝記を読みながら『Afternoons with Duchamp』に感銘を受けていると語ります。料理名やレシピの言葉は、作品の背後にある物語やコンセプトと不可分です。たとえば「Is this a grilled turbot?(これはグリルされたターボットですか?)」という名前は、料理法への疑問を投げかけ、食文化への再考を促します。
食は体だけでなく心も養うものです。皮肉とユーモアを交えた名前は、イタリア料理が「即興的」であるという矛盾を指摘しつつ、料理人の創造性を解き放ちます。
好きな料理名とアート作品名
アルゲロ・ボエッティの『Immagine e somiglianza(形象と類似)』に共鳴し、レシピでも『Oops! I dropped the lemon tart(あれっ!レモンタルトを落とした)』や『Millefoglie di foglie(葉の千層)』といったタイトルを好むと語ります。
伝統と革新
「伝統はすべて」――地理、教会、農業、職人、地域のアイデンティティが重なるものです。ボトゥーラは伝統を否定せず、むしろその上で創造的に働くことを目指します。レストランは外見上は最も伝統的でありながら、実は常に変化と呼吸を続けています。

『Oops! I Dropped the Lemon Tart』の写真(撮影:カルロ・ベンベヌート)
Emilia Burger for Shake Shack
アメリカのハンバーガーは「パティが乾く」ことが最大の課題。そこでボトゥーラは、牛すじ肉(cotechino)とパルミジャーノ・レッジャーノを練り込み、ジューシーさとコクをプラス。サルサ・ヴェルデで酸味とクロロフィルを、バルサミコマヨネーズで深みを加え、イタリアンテイストが光ります。
本の今後の展開
『Never Trust a Skinny Italian Chef』は単なる料理本ではなく、3次元的なアイデアの体現です。ボトゥーラはこの本が小学校や図書館、博物館へ届き、あるいは少年たちのベッドの下に隠されたプレイボーイのように愛されることを望んでいます。
作品に込めたメッセージ
各レシピはシェフやレストランが学んだ「小さな人生レッスン」です。時間とともにパズルのピースが揃い、全体像が見えてくる――それが料理人の成長です。最終的なメッセージは「木のようにゆっくり成長せよ」――次世代へのエールです。

さあ、料理を始めよう
『Never Trust a Skinny Italian Chef』を購入して、マッシモ・ボトゥーラの世界に触れてみてください。
さらにおすすめの本
18冊の新刊料理本があなたの旅心を刺激します。
『I Left My Heart at Don Alfonso』
『Fathom Milan Guide』




