最後の一切れ
冒険の始まり
2週間後、渦巻く朝霧の合間に青空が顔を出した。午後になると太陽が出て、千匹もの蚊に刺されるほどだった。時間のロスを取り戻すべく、キャンプ近くの2つの大きな壁に集中することにした。これまでバフィン島での探索は、比較的易しいルートでの初登頂が中心だったが、今回は北カナダの北極圏で未踏の大きな花崗岩壁に挑むことを目指した。ガイとフィルは同じ午後、ブレイダブリックのエレガントな2,000フィート(約610メートル)の北側ブッテスへ向かった。
フレイヤ峰東壁への挑戦
残りのメンバーは天候の回復を利用し、フレイヤ峰の東壁に向かった。3,000フィート(約910メートル)に及ぶスラブとヘッドウォールはキャンプからすぐに見える位置にあり、私たちはその頂点を「キラブク」と名付けた。フレイヤの主峰はアスガルド側に遠く離れていたためだ。スラブは予想よりもやや難しい5.7相当で、ロープが必要だった。ヘッドウォールも思った以上に厳しく、食料も少なく、寝袋もない状態で撤退すべきか議論したが、デニスが「上って冒険しよう」と提案し、全員が「いいね!」と応じて挑戦を決めた。
ペンデュラムでの突破
夕方、ヘッドウォールに到達したが、辿っていたクラックは突然途切れた。フリークライムもペグでの上りも不可能だったため、唯一の手段はペンデュラムで別のクラックへと渡ることだった。できるだけ高い位置にペグを打ち、ロープを固定し、150フィート(約45メートル)下へ滑り降りた。次々に前後に揺れながら勢いと距離を稼ぎ、やがて右側の新たなクラックにたどり着いた。このスリリングな操作の後、氷点下の雨に濡れたビバウックに適した岩場へと進んだ。暗くなるまでにあと600フィート(約180メートル)で頂上だったが、ヘッドウォールは基部から50フィート(約15メートル)オーバーハングしており、登攀は非常に厳しかった。
最終アプローチと頂上
翌朝、オーバーハングしたクラックは崩れやすいフレークで覆われていたため、別のクラック系へと続くランプを回りながら進んだ。ランプは次第に狭くなり、最後は危うくバランスを保ちつつレッジに手を伸ばすだけだった。千尺の空洞を見下ろしながら、レッジに到達すると太陽が昇り、光が差し込んだ。私たちは大きなレッジに横たわり、凍えた体と指を温めた。
山頂は互に直角を成す煙突状の割れ目で切られていた。赤い岩の粗い表面で体をくねらせ、ペグの音と呼吸が響く中、200フィート(約60メートル)進むと最終壁の下の広いテラスに出た。残り2ピッチはハードなペグと快適なフリークライムで、キャンプを出発してから20時間後に山頂に到達した。
頂上での余韻
頂上に立ち、テントと四方に広がる雪に覆われた峰々を見下ろすと、言葉にできない高揚感が湧いた。未踏の山頂に到達する喜びは格別だ。太陽の下、風化した岩の上に横たわり、スティーブが1,200フィート(約365メートル)下のスラブから20フィート(約6メートル)突き出た花崗岩ブロックに挑む姿を撮影した。長時間テントに閉じ込められた後、さまざまな課題とルートファインディングを経て完成したこのルートに、二度とないほどの満足感を得た。







