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プッシュ:北極圏の凍河での孤独な闘い

嵐の夜

ジャケットの中で腕を解放しようと体をくねらせ、頭上に手を伸ばす。二つの帽子は落ち、凍える夜風が耳を刺す。寝袋の中でバッテリーやボトル、毛皮ブーツを探し回り、やっと帽子を見つけて耳にかぶせた。凍った手袋越しに寝袋の裾の紐を探し、何度か失敗した後に掴んで締め直す。時計は午前1時、まだ眠りは訪れていない。

太陽はすでに沈み、オーロラが空を舞い始めていた。緑の光がテントの開口部から見える淡い雪に揺らめく。ヘッドランプを点けると、氷に覆われた壁面に光が跳ね返る。気温は-30℃前後。カナダ北西部、北極圏の上にある凍った川のほとりでキャンプしているという、夢のような場所だ。南米の最南端からここまで一年かけて旅をし、今は世界一周自転車旅行の中間地点、北極海の氷岸から数日離れた場所にいた。氷の高速道路を辿り、春になるまで凍ったままの川を走っていた。

しかしテントの中は孤独で不安だった。壁が揺れ始め、帽子を再び耳から外すと、嵐が迫ってくる音が聞こえた。風の轟音が低くうなるように高まり、テントは圧力に耐えきれず揺れた。外を見ると、オーロラも星も消え、暗い雲が川岸を覆っていた。すぐにテントのドアを閉め、寝袋に潜り込み、目を開けたまま嵐の音に耳を澄ました。

轟音は凍てつくほど大きく、壁から氷と雪がはがれ落ちて凍った球体のように舞った。私は寝袋の内側を必死に握りしめ、目を閉じて遠くの助けがどれほど遠いかを考えた。予報では数日後に来るはずの嵐が、今ここで川の氷道を水没させ、行き止まりにしてしまうことを悟った。

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朝の目覚めと挑戦

嵐が去った後、テントは倒れたポールにぶら下がり、傷だらけだった。私は体勢を変えて眠りを待ったが、遠くの木々の間から狼の遠吠えが聞こえてきた。前日に通りかかったフォート・マクファーソンの住民が「狼は餓えている」―と警告していたことを思い出し、背筋が凍る思いだった。

朝が来て目を覚ますと、次の村まで約60km、残りは約100kmだった。川の氷は前夜の嵐で完全に埋もれ、厚い雪に覆われていた。足を凍ったブーツに入れ、薄い氷の層が崩れ、深い結晶雪に足を取られた。食料は3日分、残りは50kgの自転車。雪は深く、速度は出せない。オーツを鍋に入れ、数日分の食料を配分しながら、次の4日間を乗り切る計画を立てた。

テントを片付け、寝袋を置いて自転車に乗り込むと、恐怖と不安が胸を締め付けた。集中力が欠ければ凍傷や事故になる危険がある。自転車を雪の上に立て、押し出す準備をした。

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孤独と恐怖

最初の一日はゆっくりとした進みだったが、何とか『ポジティブスイッチ』が入ったように感じた。寒さも飢えも、狼への恐怖も圧倒されなかった。しかし夜になるとスイッチは切れ、アドレナリンが抜け、恐怖と絶望が再び押し寄せた。ジャック・ロンドンの言葉が頭をよぎる――「広大さが彼を自分の心の奥底へと押しつぶす」――孤独は甘いロマンではなく、厳しい現実だった。

三日間、雪原に自転車を押し続け、まるで白いキャンバスに滴る一滴の絵の具のように小さく感じた。その三日目の夜、遠くに二つの光が近づいてくるのが見えた。スノーモービルに乗った二人の男性だった。『私たちは地元の救助隊です。あなたを探しに来ました』と告げられ、私はすぐに乗り込んだ。救助隊は狼用の銃とボディスレッドを装備しており、私の状況がどれほど危険だったかを改めて実感した。


Originally featured in Sidetracked Volume Ten.



トラベルノート
  • チョーラ峠を越えて――氷河と恐怖の旅

    序章:凍てつく大地に立つ その日、私は初めて足を止め、目の前に広がる無限の白い大地を見つめていた。最近の降雪で粉雪はほぼ結晶化し、足跡はすっかり隠れていた。氷の丘は波のようにうねり、眩い光が目を刺すほどだった。美しさと荒涼さが同居する、岩と氷の凍土だった。 「どうしたの?」とミムが後ろから声をかけた。その声は凍結した氷河の奥へと飲み込まれるように消えていった。 空気は静かで薄く、吸い込むと鼻を刺すような寒さが走った。氷がきしむ音が遠くから聞こえる。私たちはこの峠に早めに到着するよう助言されていたが、山小屋の年老いた女性は「遅すぎると、太陽が氷河を溶かし、足を骨折させるほどのクレバスが現れる」と警告した。 「何かあった?」とミムが再び声を上げ、息を切らしながら私の横に寄り添った。青いバンダナを口元から外すと、顔は赤く風に焼かれ、唇はひび割れていた。 「何でもない。」と答え、太陽が7,000メートルの鋭い山頂を照らすのを眺めた。時計を見ると予定より1時間以上遅れており、氷はすでに滴り始めていた。 出発:ネパール・ゾンラからの旅路 6時間前、私たちはネパール北東部の小さな町・ゾンラで目を覚ま

  • ドラゴンブレスを漕ぎ出す

    テントの側面に鼻を押し付けたまま目が覚める。氷がはがれ、草の上にカラカラと落ち、テントの扉を開けるとさらに氷が滑り落ちる。外を見ると、ウェールズの山々の頂に深いオレンジ色の光が差し込み、雲一つない空は海の青から北極の青へと変わり、パドルボードは氷の彫刻のように凍りついている。標高約600メートル、ブラックマウンテン山脈の最高峰すぐ下での4月、寒さは当然だが、想像以上に凍てつく寒さに驚く。コーヒーのストーブを点けた瞬間、目の前に現れたのは――ドラゴンブレス。その光景に息を呑む。 計画の始まり ちょうど1年前、ブラックマウンテン山脈の最高点ファン・ブリチェイニオグの尾根を歩いていた。南側からゆっくりと上がり、北東へと急峻に崩れ落ちる姿は壮大だ。その下にあるのが、ブラックマウンテン山脈(黒山脈とは別)に位置する二大湖のひとつ、リュン・イ・ファン・ファウルだ。 前回訪れたときは強風と横雨で視界は数歩先しか見えなかった。事前にレンジャーから聞いた話――湖は標高400メートル下にあり、朝日の光が岩壁の稜線を金色に染め、時折霧が水面に漂う「ドラゴンブレス」と呼ばれる現象が起きる――を確かめたくなった

  • 限界を超えて

    はじめに 『氷ではないはずだ』――それが私の最初の直感だった。なぜそれが可能性として浮かばなかったのかは分からない。ネパールに到着してから、天候の悪化でフライトが遅れ、計画の窓が狭まっていた。私たちの目標は、ライアンとリノが『Great Himalaya Trail(GHT)』の一部で最速記録(FKT)を樹立することだった。西から東へ、ヒマラヤとその麓を横断し、総距離1,400km、累積標高差70,000m以上を走破する計画だ。 二年前にライアンがこのアイデアを持ちかけたとき、私はすぐにロマンを感じた。『横断』と『ヒマラヤ』という言葉だけで、無数の映像と感情が頭に浮かんだ。人類の遊牧的な根源と、現代の定住生活に対する不安――それらは私の映像制作のテーマでもあり、ヒマラヤほどそれを体感できる場所はないと確信していた。困難は予想していたが、実現は可能だと信じていた。 氷の道と危機 ハイキングを始めて二日目、私たちはヒルサ村のすぐ下にいた。ここが出発点だった。目の前に広がる青い氷の帯は、緩やかな斜面で、1,000フィートの空中へと滑り落ちる危険な道だった。登山用具はなく、ランニングシューズと