エチオピア高原・シミエン山脈でのマウンテンバイク探検
序章: 巨大な岩の上からの眺め
切り立った崖から突き出した大きな平らな岩に自然と誘われ、座ってアフリカ最大の連続山脈・エチオピア高原を180度見渡しました。足を岩の端に掛けた瞬間、雲が足元を駆け抜け、まるで巨大な魔法の岩に乗って空を飛んでいるかのような錯覚に陥ります。
秋の高原と火山岩の風景
10月、雨季の余韻が残る高原は羽毛のような草花が咲き乱れ、暗い階段状の玄武岩が茶色と紫のグラデーションを描きながら遠く水彩画のように霞んでいます。噴火で形成されたロケット形の尖塔が山脈に点在し、これらは7,000万年にわたる風化と浸食の結果です。
シミエン山脈へのマウンテンバイク遠征
世界遺産に登録されたシミエン山脈(エチオピア高原北部)で、最高のシングルトラックを探す旅に出ました。シミエンはアルプスとアンデスが交わったような姿もあれば、グランドキャニオンの高齢の親戚が緑の薄い毛布にくるまって昼寝しているような姿も見せます。
岩からは、曲がった魔女の帽子やへこんだトリルビー、フラップを下げたディアステラーハットのような形が浮かび上がります。高度が頭に影響しているのかもしれません。
旅程と挑戦
8名でサンカバルからアディ・アルカイまでの道を、足ではなくマウンテンバイクで走ります。目的は標高4,550mのラ・ダシェン山頂への挑戦です。全行程は上昇7,800m、下降8,994mで、エベレストの高さを超える計算です。1日約12マイルを走り、国立公園の規則に従ってキャンプを行います。
川渡りや高地での酸欠、バイクを抱えての上り坂(ラ・ダシェンのスクランブル含む)などで時間は余裕が必要です。ガイドのゲッチは最初「自転車は走れない、走ります」と答え、私たちの目的に戸惑いましたが、走り始めると笑顔と歓声が広がり、互いの理解が深まりました。
エチオピアの文化と歴史
人口9500万人、80の民族が共存するエチオピアは、イタリア占領の歴史はあるものの、植民地化されたことはありません。人類のゆりかごと呼ばれ、約320万年前の化石「ルーシー」の発見で進化史を書き換えました。コーヒーの発祥地でもあり、貧困国とされながらも歴史と文化に富んだ国です。
同行者と現地の雰囲気
走者ガイドに加えて、白いシェフ服を着た料理人や、1974〜1991年の内戦で兵士だった警備員が同行します。警備員は夜間、鳴き声を上げる動物を追い払うだけで、実際に武器が必要な場面はほとんどありませんでした。
シミエン山脈は絶滅危惧種のシミエンフォックス(実はオオカミ)や、巨大な角を持つワリア・イベックスが生息し、1978年にUNESCOの自然遺産に登録されました。
野生動物との出会い
道中、草食性のゲラダバブーンが頻繁に見られ、巨大なロベリア植物の間を悠々と歩き回ります。ガイドのゲッチは「とても社交的」と説明しますが、草を食べるために鋭い歯が必要なのは不思議です。
旅の締めくくり
岩のプールで泳ぎ、滝でシャワーを浴び、村人と歌や踊りを楽しみ、焚き火の前で地元の聖ジョージビールを飲む――そんな日々が続きます。星空を眺めながらテントを閉じ、次のトラックを夢見て眠りにつく。自然はまだまだ多くの魔法を用意しています。







