言い訳はしない
旅の始まり
アラスカ北部の広大な荒野は、わずか二か月の暖かい季節だけに姿を現す、夢のような大地です。緑のツンドラが広がり、黒曜石のように黒い氷で削られた山々がそびえ立ちます。足元にはブルーベリーの絨毯、そして更新されたばかりの氷河期の生物が点在しています。カリブーの大群が古代の移動ルートを行き交い、オオカミがその後を追う光景は、まさに原始的な自然の劇場です。
長い間、私はブルックス山脈への旅を先延ばしにしていました。豪華なブッシュプレーンや食料キャッシュを用意した遠征が理想だと考えていたものの、資金的に余裕がなく、バックパックでの挑戦を決意しました。やがて、モンタナ州ボーズマンからフェアバンクスへ飛び、ダルトン・ハイウェイ・エクスプレスで遠隔道路へと向かいました。そこから二週間、19百万エーカーに及ぶアークティック国立野生生物保護区の中で自給自足の旅が始まります。
過酷な環境
砂塵が舞う砂利道に立ち、足元のツンドラへと踏み出すと、すぐに広大な自然に飲み込まれました。最初の週で食料が危うくなるほど不足し、途中で食べた大きなクッキーが後々の苦い記憶に。天候は変わりやすく、晴天の炎天下に蚊の大群が襲い、雨が降り出すと数日間続く雨でダウンジャケットや寝袋がびしょ濡れに。雨具の重要性を痛感しました。
野生動物との出会い
旅の途中で出会った動物は数多く、プラトーに佇むオスのカリブー、崖上の白いダルシープ、霧の中から現れた赤茶色のキツネがリスをくわえている姿など、写真に収めたい光景が次々と現れました。金鷲が急流の上空から狩りに出る様子や、ペレグリン・ファルコンがツンドラで小型哺乳類を追う姿も目撃しました。足跡からはカリブーとオオカミの追跡跡が続き、ツンドラには鹿の角が散らばっていました。
北極グリズリーとの遭遇
旅の終盤、霧が立ち込める谷底で暗い影を見つけたとき、直感でそれがクマだと判断しました。300メートル離れた大岩の横に身を潜め、3時間以上待ち続けた結果、やがて北極グリズリーの大きな茶色の顔が姿を現しました。雨に濡れた体を拭き、四足で立ち上がると、120メートルほどの距離で根やベリーを食べている姿をカメラに収めました。
過去にグリズリーに襲われた経験がある私にとって、危険は十分に認識していましたが、風向きを利用し匂いを抑えながら数時間の静かな観察を続けました。やがてクマは姿を消し、私は息を呑むほどの達成感とともにキャンプへと戻りました。
旅の終わりと余韻
数日後、出発点の砂利道に戻ると、観光客のグループに出くわし、まるで隠遁者のように見られましたが、すぐに焚き火の輪に招かれ、温かい食事と氷のビールで歓迎されました。二週間にわたる過酷な旅と、北極グリズリーの撮影という目標の達成は、私にとって大きな満足と新たな自信をもたらしました。









