静寂を求めて:スバールバル南部探検記
旅の概要
私はスバールバルへの4回目の遠征に向けて出発準備を進めていた。特に南部に位置する広大なスピッツベルゲン・サウス国立公園を横断したいという思いが強く、北部に比べて気候が不安定で氷河が割れやすく、クマの出没が多いこの地域は、スキードゥが原則禁止されている(特別な許可が必要)ため、スピードや距離ではなく、耐久力と冒険への没入を目的とした旅になることは明らかだった。孤独は必至であった。
装備と同行者
南部を安全に横断する最善の方法は、東海岸に沿って海氷上をスキーで移動することだ。海は数か月間凍結し、氷塊や圧力リッジが乱立する独特の風景を作り出す。私の相棒は4歳のマラムート犬、ロンサス。犬と共に旅をする者なら分かるだろうが、彼は優れた仲間であり、特にこの遠征ではクマを警戒する不屈の番犬として活躍した。
出発と最初の移動
4月10日、-20℃の晴天でLjosoddenに到着した。そこには3台のスキードゥがあり、風もなく、太陽はまだ沈まない。北緯77度という位置のため、1日20時間近くの日照が得られる。スキードゥが氷原の彼方へと消えていくのを見送った後、私とロンサスだけが残された。燃料と装備を満載した2台のソリは、過酷な自然の中で20日間生き延びるだけの物資を積んでいた。
ロンサスとの行軍
私はパルクで道を切り開き、ロンサスは自分のソリを引きながら数メートル後方を歩いた。時折立ち止まり、周囲の景色とロンサスの表情豊かな目を眺め、独特の環境に身を浸した。ラップランドの湖面と違い、潮の満ち引きで圧力リッジが形成され、凹凸のある荒々しい氷原になる。斜面はほとんどないが、足元は決して楽ではない。
氷上の危険と対策
最初の3日間は地面が固く、問題はなかったが、一部では柔らかい雪の下に硬い砕氷が潜んでいた。ロンサスの足裏に傷ができ、雪に血痕が残っているのを見つけたとき、すぐに状況を把握し対処した。過去の遠征情報(1時間で500メートルしか進まないケース)を考慮し、南へ向かうのを中止し、ハマー ブクタ湾で折り返す判断を下した。
クマとの遭遇
ハマー ブクタ付近ではオス、メス、子熊の足跡が遍在し、警戒モードを最大にした。夜は凹凸の少ない平坦な氷原を選び、全方向に視界が確保できる場所でテントを張った。ロンサスはテント外で縛られた状態で眠り、鳴き声があれば必ず視線の先を確認したが、彼は一度も鳴かなかった。
自作の防熊フェンスは釣り竿一本で1分以内に設置でき、侵入者があれば自動でフレアが発射される仕組みだ。その瞬間に私はフェアゲンやライフルを手に取り、必要ならナイフでテントを破って逃げ出す準備もしていた。天候は予想以上に穏やかで、風嵐で1日だけ足止めした以外は、寒く晴れた静寂が続いた。
最も印象的なクマとの遭遇はハマー ブクタで起きた。キャンプ撤収作業中、フェンスを回収しロンサスを自由にさせた瞬間、遠くにクマが姿を現した。ロンサスは吠えず、私も銃を構えず、ただ互いの視線を交わすだけの奇妙な時間が流れた。クマは好奇心を満たすとすぐに去り、私たちに関心は示さなかった。
しかし、全てのクマが同様に大人しいわけではない。母熊から離れたばかりの若いクマは非常に大胆で、飢えた若獣は最大の脅威となる。年老いたクマも狩猟能力が衰えており、飢餓状態で氷上を彷徨うため、遭遇は極力避けるべきである。
氷河と鉱山地区への移動
国立公園を出た後、Kvalvagen湾で海氷を離れ、Storbreen氷河へ向かった。そこからPaulabreen氷河へと横断し、絶景と比較的平坦な地形、クマの出現リスクが低いエリアを楽しんだ。その後、Van Mijenfjordenの沿岸にある鉱山町Sveagruvaへ向かい、そこまで3日かかった。
Sveagruvaは灰色の丘が煤で覆われた不思議な風景で、道路や重機、スキードゥ、トラックやサイレンの音が絶えず、予想外の騒音に苛立ちを覚えた。私は海岸から2km離れた場所にテントを張り、遠くで重機の轟音が聞こえるだけの静けさを求めた。
帰路と最後の冒険
翌朝、鉱山町を背にして海氷へ戻るべく、沿岸を辿ってSlakbreen氷河を目指した。途中、地図と実際の風景が食い違い、遠くに車列が見えた。氷河上に車が走っている光景は想像を超えるものだったが、近くを通りかかった作業員に確認すると、新たな鉱山のために道路が敷設されていたことが分かった。私はMartabreen氷河の上にいたが、道を進むか、氷河を滑り降りてReindalen谷へ向かうかの選択を迫られ、滑降を選択した。
滑り降りは長く一直線で、スキーヤーにとっては最高の楽しみだった。道路や鉱山の喧騒はすべて遠ざかり、1時間後にはMartabreenの堆積物上でキャンプを張り、再び静寂と平和を取り戻した。
本遠征のルートマップはCesar Sainzが制作し、動画はVimeoで視聴できる。







