信念の飛躍 ― 元プロサーファーJonが語る人生転機とWaves For Water創設の物語
インタビュー:人生の転機とWaves For Water創設の背景
Sidetracked: 最近のインタビューで、Waves For Waterのきっかけは次の一手を探していた時だと語られました。プロサーフィンから徐々に遠ざかり、バハでバイクに乗り、山でハイキングしながら人生の方向性を模索していたと聞きました。その時期についてもう少し教えてください。
Jon: 私は高校卒業直後にプロサーファーとなり、13年間サーフィンに携わってきました。そのうち約6年間はツアーに参加し、残りはフリースサーフィンで世界各地を巡り、映像会社や雑誌と仕事をしていました。子どもの頃からビーチが好きで、海は私の“ベビーシッター”のような存在でしたが、30歳を前にして自分がベストではないことを悟り、次の章を考え始めました。バイクと写真が別の情熱で、プロとして一つのことに集中し続けてきた自分にとって、自然な転換点でした。
私の育ちも影響しています。父はスキーインストラクターでロッククライマー、祖父はヨセミテへ連れて行ってくれた世代です。9歳のときに両親が離婚し、父と一緒にバハへキャンプに出かけました。フェリーでプエルト・バジャルタへ渡り、何ヶ月も未踏の地を探検した経験が、世界は無限だという感覚を育みました。父が車の中でウィリアム・S・バロウズやジャック・ケルアックのオーディオテープを流していたことが、私のストーリーテリングへの感性を養いました。
水浄化装置への関心はどこから? Waves For Waterはどう始まったのか
最初は“ペットプロジェクト”的な位置づけでした。自分の新しい上司に「これが今やっていることだ」と説明したく、同時に何か人の役に立ちたいという思いがありました。科学者でも平和部隊出身でもない私が選んだのは“水”。解決しやすい課題であり、文化や宗教、性別といった社会的ニュアンスに配慮しながら人々と直接向き合えると考えたからです。販売ではなく、必要とする人々にアクセスを提供することが目的でした。現地でのニーズ評価の後、必要なソリューション(井戸掘りや浄水装置など)を設計・提供しています。
NGO界の“特殊部隊”と呼ばれる理由
私たちは迅速に現場に入り、官僚主義やプロトコルに縛られずに仕事を完了させます。災害対応は緊急性が高く、同じスピード感で行動する必要があります。
この哲学はハイチで組織を立ち上げた時に形成されました。ハイチは救援活動の中心地で、米軍第82空挺師団とキャンプを共にし、現場の実務を学びました。国連や米軍の官僚的な手続きにうんざりし、もっとシンプルに人々に清潔な水を届けたいと考えたのです。
小さな村に入り、分散型・ボトムアップで作業します。政治家やリーダーに直接交渉するのではなく、地域の実務者や学校教師、診療所長、地元ビジネスマンと協力し、彼らに新たなツールを提供します。結果として政治的な抵抗は最小限に抑えられ、現場のニーズに即した支援が可能になります。
現地リーダーの見つけ方と信頼の基準
時間をかけて地域に根ざすことが最重要です。私が重視する特徴は、コミュニティへの貢献意欲とリーダーシップです。時には17歳の少年が最適なリーダーになることもあります(例:リベリア)。医療関係者や教師、宗教指導者、地元実業家など、既に地域で信頼を得ている人々を巻き込み、プロジェクトの所有権を委ねます。
ブータンへの旅:目的と背景
ブータンは長年訪れたいと考えていた場所です。私たちのチームにはトレッキングツアーを運営するディレクターが二人おり、彼らのネットワークを活かして入国手続きを円滑に進めました。予算はなく、現地でバイク(ロイヤルエンフィールド)を調達し、インド・西ベンガルからブータンへと向かいました。
ブータンを選んだ理由
私の人生は探検と冒険で彩られています。サーフィンに没頭した後も、新しい場所への渇望は変わりません。Waves For Waterは現在、700万人に清潔な水を提供するグローバルNGOへと成長しましたが、同時に私の情熱を実践できるプラットフォームでもあります。ブータンは個人的な“死ぬ前に行きたい場所”リストの上位に常にあり、友人からも“最高の国”と聞いていたので、訪れる価値がありました。
旅の計画で直面した課題
バイクでの長距離走行は安全面が最大の課題です。5人で1日8時間、2週間走るというスケジュールはリスクが伴います。ビザ問題や現地の文化的センシティビティ(仏教国としての配慮)にも注意が必要でした。
旅での驚きと印象的な瞬間
ブータンでの体験は、物理的な美しさだけでなく、仏教文化が醸し出すエネルギーに圧倒されました。特に、雨上がりの峡谷で太陽が差し込み、冷たい氷河水に飛び込んだ瞬間は、人生の選択と恐怖を乗り越える力を象徴するものです。その瞬間は、私の誕生日に起きた最高のプレゼントでした。
Sidetracked Magazineでの掲載経緯
誕生日に川に飛び込んだ瞬間が、Sidetracked Volume 7で特集されました。ブータンの首都ティンプーで出会ったバイククラブと共に、山道を走りながら雨と太陽が交錯する中で、氷点下の水に潜った体験は、私にとって「選択の力」を再確認させる出来事でした。
Read Jon’s story, A Leap of Faith, in Sidetracked Volume Seven




